CPAとは、Cost Per Acquisitionの略で、「獲得あたりの集客コスト」の意味です。
CPOとは、Cost Per Orderの略で、「注文あたりの集客コスト」の意味です。
成果地点のことをコンバージョンポイントと言いますが、顧客獲得という意味では、どちらも同じコンバージョン獲得のためにかかった集客コストということで同じ意味になります。
コンバージョンとは転換という意味で、買い手の状態が何らか売り手の意図する状態に変化した時に使われる用語です。主に、購入や申込などの集客に関する状態変化に対して使われます。
コンバージョンだけを追っているなら、特に使い分ける必要はありません。
ですが、あなたが事業成長のエンジンとしてマーケティングを使いこなしていきたいのなら、CPAとCPOは使い分けるようにしてください。
その理由と活用のポイントについてお話しします。
目次
CPAとCPOを分けて考える理由
マーケティングには流れがあります。
いきなり商品を売っても買ってもらうことは難しいです。
なので、購入までにいくつかのアクションを買い手にとってもらうことで、徐々に購入へと誘い込んでいくことになります。
この流れがまさに「売れる仕組み」であり、この仕組みを作るのがマーケティング活動です。
CPAもCPOも獲得あたりの広告費ですが、それぞれの「獲得」の意味の違いについてお話します。
見込み客の獲得と顧客の獲得の違い
顧客が商品を買うまでには流れがあります。
食料品や日用品など比較的安価な商品でなければ、いきなり商品を買うということはありません。
例えば
- 通販コスメなら、お試しセットを買ってもらって、本商品を買ってもらう
- 英会話スクールなら、webで資料請求をして、体験レッスンを受けて、カリキュラムに申し込む
- エステなら、無料体験モニターに申し込んで、本コースに申し込む
など。この時、本来買ってもらいたい商品の手前に、買い手にとってもらいたいアクションがあります。
- お試しセット購入
- 資料請求
- 体験レッスン
- 体験モニター申込
これらのアクションを挟む理由は、買い手に対する購入のハードルを下げる効果があるからです。
使ったことのないコスメアイテムに1万円出すのは勇気がありますが、2千円でお試しセットを買ってみて効果を感じれば、1万円の本商品を買おうと思います。
いきなり英会話スクールに20万円出すのは勇気がありますが、資料で詳しく内容を理解して体験レッスンを受けてみて、英語が身につきそうだと感じれば、20万円を払って入会します。エステの体験モニターも同様です。
高額な商品であればあるほど、いきなりその商品を買う人は少なくなります。
なので、まずは小額で試せる商品を買ってもらうことで、商品価値の体験をしてもらう流れを作ります。
企業向けのツールなどもいきなり申し込むことはなく、営業担当との商談を経て申込に繋がりますよね。
この時の、購入前のアクションとなる「お試し商品の購入」「資料請求」「体験レッスン申込」「問合せ」などを見込み客の「獲得」と考えて、その後の本商品の購入や申込を顧客の「注文」と考えます。
そして、見込み客の獲得にかかったコストはCPAとし、顧客獲得にかかったコストはCPOとします。
この見込み客の獲得と顧客の獲得(注文)を分けて考えられるようになることで、より多くの顧客を集客できるようになります。

CPAとCPOを使い分ける計算方法
獲得した見込み客が全員、顧客になってくれるわけではありません。
お試し商品を使った結果、自分には合わないなと感じる人の方が多いです。
体験レッスンを受けた結果、ついていけないかもしれないと感じる人もいます。
なので、獲得が多くても実際の商品が売れないという状況があります。
本来買ってもらいたい商品を買ってもらえなければ意味がありません。
見込み客の獲得と顧客の獲得それぞれの獲得単価の出し方についてお話しします。
CPAとCPOの計算方法
例えば
100万円使って美容液の広告をした時、2,000円のお試し商品が200人に売れたとします。この時のCPAは5,000円です。
広告費1,000,000円÷お試し商品購入200人=CPA5,000円
売上は、2,000円×200人=400,000円
でも、お試し商品を買ってくれた200人のうち、5,000円の本商品を買ってくれた人が10人だったとすると、CPOは10万円になります。
広告費1,000,000円÷本商品購入10人=CPO100,000円
売上は、5,000円×10人=50,000円
CPAだけで見ると安くたくさん獲得できているように思いますが、事業運営上は赤字状態です。
適切なCPAを計算する方法
なんとなくCPAを決めて広告運用をしていると、集客しても利益が出ない状況があります。
その理由は、限界CPOから逆算したCPAを設定できていないからです。
限界CPOとは
1人の顧客から注文をもらうために、これ以上の広告費がかかっては利益が出なくなるボーダーラインのこと。
限界CPOについては、こちらの記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください⬇︎
お試し購入や資料請求・問い合わせなど、見込み客の獲得にかかるコストがCPAです。
顧客の獲得にかかるコストがCPOです。
なので、目標のCPOがある時、CPAはそれよりも必ず低くなります。
なぜなら、見込み客の全員が注文をするわけではないからです。
例えば
お試し商品を買った見込み客の10%が本商品を注文する時、CPAはCPOの10分の1の費用になります。
100人がお試し商品を買ってくれると、10人が本商品を買ってくれる計算になります。
100人×10%=10人
掛けた広告費が30万円だとすると、CPOは3万円になります。
30万円÷10人=3万円
30万円使って、100人の見込み客を集めたので、CPAは3千円になります。
30万円÷100人=3千円
もし、30万円で10人集客する目標を立てているなら、お試し商品の購入や資料請求や問い合わせなどの見込み客獲得は、1人3千円以下でやらなければいけないということがわかります。
もし、CPOを2万円に抑えなければいけない場合は、広告費を20万円にするか(1)、30万円で15人の顧客獲得をしなければいけない(2)ということになります。
- 20万円÷10人=2万円
- 30万円÷15人=2万円
1.2.どちらの場合も、「獲得単価を下げる」「成約率を高める」の2つのアプローチがあります。
獲得単価を下げるアプローチ
見込み客から顧客になってもらえる割合が10%の時、1.の場合は予算20万円で100人集めることになるので、CPAが2千円になります。
20万円÷100人=2千円
2.の場合は、予算30万円で150人集めることになるので、CPAが2千円になります。
30万円÷150人=2千円
成約率を高めるアプローチ
獲得単価を変えずに、目標を達成させるためには、成約率の改善が必要になります。
1.の場合は、CPA3千円で集められる見込み客は66人になります。
そして、66人の見込み客から10人の顧客を作らなければいけないので、約15%が成約する状況を作らなければいけません。
20万円÷3千円=約66人
10人÷66人=約15%
2.の場合は、CPA3千円で集められる見込み客は100人のままですが、100人の見込み客から15人の顧客を作らなければいけないので、成約率を15%にする必要が出てきます。
30万円÷3千円=100人
15人÷100人=15%
このように、目標に対して、獲得の数やコストを調整することで、より具体的な獲得プランを立てることができるようになります。
以下のように計算していくことで、適切なCPAは簡単に計算できるので覚えておいてください。
適切なCPAを設定するための手順
- 見込み客の成約率(注文率)を計算する
- 限界CPOを計算する
- 限界CPO×成約率を計算する
トレーニング
体験レッスンに来てくれた人の内、50%の人が入会してくれます。
1人の入会にかけて良い広告費が5万円の時、1人の体験レッスン申込を集めるためにかけて良い広告費を計算してください。
マーケターをレベルアップさせるCPAとCPOの使い方 まとめ
CPAとCPOはコンバージョンあたりの集客コストという意味では、同じものを表します。
ですが、コンバージョンにはいろんなコンバージョンがあるので、その時々で意味が変わります。
大きく分けると、見込み客の獲得と顧客の獲得の2つの獲得がマーケティングには存在します。
比較的金額の高い商品の場合、いきなり買う人は多くありません。様子見をして、納得をして、初めて買ってくれます。
そのために商品の事前の体験を提供することが大切になるので、売り手はお試しできる商品や無料のサービスや資料の提供などを用意して、見込み客を顧客へと導く必要があります。
見込み客の獲得あたりの集客コストをCPA、顧客の獲得あたりの集客コストをCPOとして使い分けます。
それにより、見込み客の獲得にかけて良い広告費がいくらなのかを正確に把握することができるようになります。
売上に貢献する本来買ってもらいたい商品が売れなければ意味がありません。
そのためにいくらの広告費をかけて良いのかは、限界CPOを計算することでわかります。
限界CPOから逆算した適切なCPAを元に集客することで、顧客獲得はできているけど利益が全然出ていないという状況にはならないようになります。
適切なCPAを設定するための手順
- 見込み客の顧客化率(注文率)を計算する
- 限界CPOを計算する
- 限界CPO×顧客化率を計算する
今のCPAではCPOがいくらになってしまうのか、目標のCPOにするためにCPAをいくらにしなければいけないのか、そういう頭の使い方ができるようになれば、状況把握と評価判断の精度が上がり、パフォーマンスを高めるための改善の精度を高めていくことができます。
