webで集客しているマーケターの悩みの種は、ランディングページのCVRだと思います。
CVR…コンバージョン率。訪問者が購入・申し込みなどの成果地点へたどり着く割合。
CVRが10%でも20%でも良くなれば、もっと積極的に集客していけますよね。
ランディングページのCVR改善のために、ABテストが必要だということは多くのマーケターが既に知っていることです。
ランディングページのABテストをするために、ABテストツールの導入を考える企業も多いですが、ツールが全てを解決してくれるわけではありません。
ツールを導入する前に、まずツールが無くてもできるCVR改善に取り組んでいただくことをおすすめします。
今回は、ABテストツールが無くてもできる効果的なABテストのやり方についてお伝えします。
既にツールを導入している方も、より効果的にABテストするためのポイントについて知れるので、是非最後まで読んでください。
目次
そもそもABテストって何?
ABテストとは、複数のパターンを同時に運用することで、良い反応につながっている要素を見つけ出す検証&改善の方法です。
事業規模が小さいうちは、AパターンとBパターンの2パターンでテストしていくようにするのがオススメです。
2パターンが良い理由は、集客のボリュームが小さいので、パターンを増やしすぎてしまうと、検証に必要なデータが集まりにくくなるからです。
またパターンを増やすためのリソースも十分ではないので、しっかりとしたABテストができないことも多いです。
ABテストをすればCVRが改善される理由
なぜABテストをすればCVRが改善されるのかと言うと、良いランディングページと悪いランディングページが明らかになるので、良い方を残して、悪い方を停止することができるからです。
例えば
Aパターン・Bパターンそれぞれ10万円ずつ広告して集客したとします。
Aパターンのランディングページからは10人集客できて、Bパターンのランディングページからは5人集客できた時、それぞれのランディングページの獲得単価は、Aパターンが1万円、Bパターンが2万円です。
全体では20万円使って、15人の顧客獲得ができたことになります。
ランディングページをAパターンだけにすると、20万円で20人の顧客獲得ができるようになるので、使っているお金は変わらずにより多くの顧客獲得に繋げることができます。
そして
良いランディングページを残し、そのランディングページと競わせる新しいランディングページを追加することで、より高いパフォーマンスを目指すことができます。
パフォーマンスの高いランディングページの要素を組み合わせ続ければ、どんどんと良い方向へ向かっていくというのが、ABテストでCVRが改善される理由です。
効果的なABテストに必要な考え方
ABテストに取り組んでいる企業は多いですが、効果的にABテストができている企業は少ないです。
とりあえず、次々にクリエイティブを作って広告しているとうまく行きません。
ABテストは単にパフォーマンスの高いクリエイティブを探すのではなく、反応の高い要素を探すためにやると覚えておいてください。
ただ単に新しいクリエイティブを作ってテストし続けているのは、いつか当たるクジを引き続けているのと同じです。
どこをテストするのか、どうテストするのかを事前に決めておくことが大切です。
ランディングページは大まかに3つの要素で作られています。
ランディングページの構成要素
- ファーストビュー(最初に画面に表示される部分)
- オファーエリア(商品の購入や申込みの条件が示された部分)
- コンテンツエリア(見込み客の興味を惹きつけたり、商品の説明をする部分)
大事なのが1つ目の「ファーストビュー」です。
なぜなら画面を開いて、そのページを見るかどうかを決める場所だからです。
ここで興味を惹きつけられなければ、すぐにページの戻るボタンを押されてしまいます。
なので、より見込み客の興味をひき、「欲しい!」と感じてもらえるファーストビューを見つけることを、ランディングページのテストの目的にしてください。
具体的なABテストのやり方
ABテストのやり方について紹介します。
具体的には以下のステップで進めます。
ABテストの手順
- 訴求を整理する
- テストする要素を決める
- パターンを作成する
- 運用する
- 結果を見る
- 別のパターンを運用する
それぞれそれぞれ解説していきます。
ABテストの手順① 訴求を整理する
訴求とは、「買いたい気持ち」を引き出すきっかけとなる情報のことです。
まず、商品が提供できる価値を洗い出します。
例えば
- どんな変化があるのか
- どんなプラスの結果を手に入れられるのか
- どんな風に課題を解決できるのか(早い、簡単、お得など)
- どんな特徴があるのか
- どんな実績があるのか
- どう評価されているのか
- いくらで売られているのか
など。
これらが訴求の元となる情報です。
ベネフィットを既に整理していれば、それらが訴求になります。
ベネフィットの見つけ方については、こちらの記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください⬇︎
ABテストの手順② テストする要素を決める
次に、ランディングページのどの要素をテストしていくのかを決めます。
場所としてはファーストビューですが、ファーストビューは「キャッチコピー」「ビジュアル」「デザイン」で作られています。
どんなメッセージを、どんなイメージと合わせて、どんな見た目で訴求するかを決めてください。
この時に重要なのが、全部の要素を変えないということです。
全部の要素が違うと、何が良くて何が悪かったのかが後からわからなくなるからです。
キャッチコピーだけ変えて、ビジュアルとデザインは同じにするような形が望ましいです。
例えば
- 商品の画像と人物の画像
- 手軽さを押し出したキャッチコピーと機能性を押し出したキャッチコピー
- シンプルなデザインと賑やかなデザイン
など。
キャッチコピーのアイデア出しに使える型については、こちらの記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください⬇︎
ABテストの手順③ パターンを作成する
要素を決めたらパターンを作ります。
キャッチコピーテスト用のパターン、ビジュアルテスト用のパターン、デザインテスト用のパターン、それぞれ切り口の違うパターンを複数用意しておきます。
ABテストは常により良い方を探す活動なので、テストパターンが不足しないように、設計段階である程度パターンを用意しておきます。
よくあるのが結果を待って、じっくり分析して、そこから仮説を立てて、パターンを作成するというやり方です。
それだと数ヶ月に1回しかテストできないなんてこともあります。
ABテストは改善を積み上げていく活動なので、テストしただけCVRはより良い方向へと向かっていきます。
なので、素早くテストすることが大事になります。
そのために、テストパターンを事前に複数用意しておくようにしてください。
ABテストの手順④ 運用する
作ったテストパターンから、今のクリエイティブと最も遠い訴求や見た目のものを選んでください。
似通ったクリエイティブでは、結果の違いが出づらいからです。
そしてテスト期間や評価条件なども決めておきます。
例えば
1ヶ月目:ビジュアルテストを4パターン(週1差し替え)
2ヶ月目:CVRの高かったビジュアル+キャッチコピーテストを4パターン(週1差し替え)
3ヶ月目:CVRの高かったビジュアル+コピー+デザインテストを4パターン(週1差し替え)
評価条件:1回のテストにつき、各ランディングページに1,000訪問集める
など。
どのテストをいつやるか決めておけば、PDCAサイクルは必ず回せるようになります。
ABテストの手順⑤ 結果を見る
結果はコンバージョンで見るようにしてください。
ランディングページの違いが、コンバージョンに直接的に影響するからです。
もしコンバージョンが少なければ、ランディングページの滞在時間を比較してください。
興味を持ってくれた人がいたから、すぐにページを閉じずに、長く滞在してじっくりと内容を見てくれたと考えられるからです。
ページ内のユーザー行動を見れる「ヒートマップツール」を導入していれば、ファーストビューの下でどれくらいの人がページから出て行ったのかを見ます。
興味を引けていれば、ファーストビュー下での離脱は少なくなるからです。
状況に応じて見れるデータを見て、どちらの方がより「買いたい気持ち」を引き出せたクリエイティブかを判断します。
ABテストの手順⑥ 別のパターンを運用する
勝ちパターンと負けパターンがわかったら、次は勝ちパターンを残して、別のパターンを追加します。
既にパターンを作っているので、広告の設定をするだけで、次のテストを開始できます。
この素早いPDCAサイクルを回すことが、ABテストでCVRを改善するためには大事です。
大体2~3ヶ月を1つの大きなサイクルとして考えて、次のテスト設計を進めます。
ある程度の勝ちパターンが見えているのなら、その派生パターンを作ったり、ファーストビュー以外の場所のテストに移行したりしていきます。
ABテストツールでできること
ABテストツールでできることは、テスト運用の自動化です。
ツールを使わずABテストをする場合は、Aパターン・Bパターンそれぞれのランディングページを媒体に入稿しなければいけません。
なので、入稿の手間がかかります。
ABテストツールがあれば、入稿するURLは1つで、自動的にテストパターンに振り分けてくれます。
あとは、結果の分析もしやすいメリットがあります。
テストパターンを簡単に作れたり、広告媒体別にテスト結果を集計できたり、どのテストパターンがより優位な結果になっているのかをグラフで示してくれたり便利です。
ですが、ABテストの運用は簡単になりますが、ABテスト自体がうまくいくかどうかは別の話です。
ABテストができていない、もっと活用したいという課題への解決策にはならないのが実際のところです。
複数のテストを同時に走らせる、数日サイクルでテストを回すくらいの規模で広告出稿しているとかであれば、是非ABテストツールを使ってみてください。
ABテストツールを使う前にやること|CVR改善の手順法 まとめ
ABテストは複数のクリエイティブパターンを同時に運用することで、良いクリエイティブと悪いクリエイティブを見つけるための方法です。
ランディングページのCVRを改善するためには、コンバージョンに影響を与えている3つの構成要素をより良いものにしていかなければいけません。
ランディングページの構成要素
- ファーストビュー(最初に画面に表示される部分)
- オファーエリア(商品の購入や申込みの条件が示された部分)
- コンテンツエリア(見込み客の興味を惹きつけたり、商品の説明をする部分)
まずは、最も影響力のあるファーストビューのテストに取り組んでください。
見込み客は、ファーストビューを見てそのランディングページの見る見ないを判断するからです。
ABテストのポイントは、1つずつテストするということです。
複数の要素を同時にテストしてしまっては、どの要素が良くてその結果が出たのかが分からなくなるからです。
当たりパターンを見つけるのではなく、当たり要素を見つけるためにテストするということを覚えておいてください。
1つのテストパターンを作って、運用して、結果をみて、仮説を立てて、次のパターンを作るというやり方をしていては、CVRはなかなか改善しません。
テストの回数が、CVR改善の可能性を高めるからです。
なので、複数のパターンを事前に作っておき、結果が出たらすぐに入れ替えて次のテストができるようにしておきます。
それにより、常にテストが動いている状況を作れます。
まずはアナログにこのABテストPDCAを回せるようにしてみてください。
多くの企業が現状を打破するために便利なツールを求めがちですが、ツールはあくまでより効果的に・効率的に行うための道具でしかありません。
そもそもABテスト自体を行えていなければ、ツールを入れてもうまくはいきません。
自動的に成果を出してくれる魔法の杖のように思ってツールを導入した企業の多くが、ツールを使いこなせず無駄な費用を払い続けています。
なので、まずは自社でできる範囲のテストに取り組み、よりスピーディに大規模なテスト運用が必要になった時に、ツールの導入を検討することをオススメします。