マーケティングは「売れる仕組みづくり」です。
顧客の求める価値を提供する商品を作って、それを届けるために商品があることを伝えて、欲しいと思ってもらうための商品への興味づけを行います。
商品のことを知らせるために使うのが広告です。
広告の使い方で、見込み客のポジティブな反応にもネガティブな反応にも繋がります。
ですが、世の中の多くの広告がポジティブな反応にもネガティブな反応にも繋げられていません。
ほとんどの広告はスルーされています。
今回は、集客のために必要な伝わる広告の作り方のコツについてお伝えします。

目次
多くの広告が伝わらない理由
多くの広告がスルーされている理由は、見られる前提で広告が作られているからです。
広告の作り手はみんな広告が大好きです。
企業の担当者はパソコンの画面や出力された紙の上で広告を見て判断しています。
なので、読みこまないと伝わらないメッセージを書いたり、広告に出会う人の注意をひくデザインにできていません。
見込み客が顧客になるプロセスの最初の接点を作るのが広告の役割です。
広告を見た人の反応が取れなければ、その広告は存在しないのと同じだと言えます。
でも、多くの企業がそのことを無視して広告を作ってしまっています。
見込み客の注意を引くためのマインドセット
スルーされない広告にするためには、「見られていない前提」に立つことが大切です。
多くの人が、広告だと分かった瞬間に無視するようにプログラミングされています。
その最初の壁をクリアすることが大事になります。
広告は見られていないという前提に立てば
- 何を見せれば相手の注意を引けるか?
- 何を伝えれば相手の興味を引けるか?
- どう伝えれば相手に伝わるか?
を考えて広告を作れるようになります。
そうすれば、他の企業と同じような広告にはならないし、何を伝えたいのかわからない広告にもなりません。
ビールの広告って、ぱっと見ではどのブランドの広告かわかりませんよね。
商品名と商品パッケージを変えたら、どのブランドでも成立してしまうような広告が多いです。
「旬なタレントが美味しそうにビールを飲む。」
それが鉄板の型と言えばそうなのですが、想像できるものは想像で処理されてしまいます。
注目を集めるきっかけを旬なタレントに依存しているとも言えます。
「ビールの広告はこういうものだ」という前提から入って広告が作られているので、何十年も代わり映えをしていないのです。
見込み客はあなたの広告を見たいと思っていません。
なので、誰も見たいと思っていない前提で広告を作るようにしてください。

集客力のある広告に必要な1つの要素
では見込み客の注意を引くために、何を伝えれば良いのかをお話しします。
それは、ベネフィットを伝えることです。
ベネフィット…メリット、利便性。商品を使うことで手に入るプラスの結果のこと。
顧客は課題を解決するために商品を買っています。
つまり、ベネフィットを手に入れるためにお金を払っていると言えます。
なので、相手の求める結果が手に入ることを、広告で伝えます。
そうすることで、相手はあなたの広告に興味を持ちます。
無視する企業の売り込みから、受け取るべき自分に関係のある情報へと広告が変わります。
本来、人は情報収集が好きな生き物です。
私たちも毎日ニュースを見てますよね。
自分に関係のある情報があるかもしれないと思うから、ニュースを見ます。
広告でベネフィットを伝えることによって、それは見込み客にとってのニュースになります。
結果、見込み客はあなたの広告に注意を向けざるを得なくなります。
なので、広告ではベネフィットを必ず伝えるようにしてください。
ベネフィットについては、こちらの記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください⬇︎
伝わる広告を作るコツ
ベネフィットを伝えるだけでも注目を集められる広告になりますが、さらに反応を得やすくするためのコツがあります。
それが「語るな示せ」です。
こちらから何かを伝えようとするのではなく、相手に伝わるような表現にすることです。
言葉で伝えるのではなく、イメージで見せると考えるとわかりやすいと思います。
例を紹介します
大規模なハリケーンが来るので避難指示の出ている地域がありました。
でも避難しない住民が多くいました。
住民はハリケーンにはよく遭遇しているので、いつものようにやり過ごそうとしていたのです。
地元ニュースでは警戒を訴え、すぐ避難するように伝え続けましたが、住民は避難しませんでした。
でも、役所のある対応によって住民は避難しました。
何をしたと思いますか?
避難しない住民に対して、リストバンドを配ったのです。
それを渡された住民は「なんですかこれは?」と役所の担当者に尋ねます。
役所の担当者は「ハリケーンに巻き込まれると、死体で個人を判定できなくなるので、その死体があなたであると後からわかるようにするためのリストバンドです。」と答えました。
それを聞いた多くの住民が避難をして、被害は抑えられたという話があります。
これはまさに「語るな示せ」です。
「避難してください!」と伝えるのではなく、自分が身元不明の死体になることをリストバンドによってイメージさせられたことで伝わり、自分ごと化されました。

語るよりも示した方が伝わる理由
なぜ、語るよりも示した方が伝わるのか?その理由をお伝えします。
人は、人から指示されたことで動くのは嫌だと感じます。
仕事の場合は、言われたことをやりたいと思っている人はいますが、それは責任を負いたくないという理由があるからです。
そういう人も、自分の人生や生活に関係のある行動については、人の指示で動きたくないと感じます。
例えば
あなたが友達に恋愛相談をする時、本当は自分の中で結論は出ていると思います。
それを評価してもらったり、後押ししてもらいたいと思って相談しているはずです。
自分の考えとは違う返答が来ても、それに従おうという気持ちにはならないですよね(笑)
家族や友人など信頼している相手からのアドバイスであれば、100歩譲って聞き入れたとしても、企業から「これがおすすめです」「あなたにぴったりです」といきなり話しかけられても、当然「は?」となりますよね。
でも、それが多くの企業がやってる広告です。
一方的に伝えてるだけで、全然伝わっていない状況です。
そもそもあなたのメッセージを聞くつもりがない相手に、直接的に伝えたいことを伝えても、見込み客には伝わりません。
ですが語るのではなく示すことで、あなたから伝えられた情報ではなく、イメージから自分が受け取った情報へと情報の伝わり方が変わります。
誰かに伝えられた言葉は誰かの言葉として伝わりますが、イメージで示された場合は、そのイメージに対する言葉を自分で作り出します。
つまり、人が判断した情報を伝えられたのではなく、自分が判断した情報が伝わることになります。
先ほどの例で説明すると
多くの住民が「避難しないと大変なことになる」というニュースキャスターが判断した情報を伝えられても、従いたくないと感じていました。
でも、配られたリストバンドによってイメージ化された「死体となった自分を受け入れたくない」という自分の判断には従いたいと感じました。
これが「語るな示せ」が人の行動を促す力を持っている理由です。
集客力がアップする伝わる広告の作り方 まとめ
集客力のない広告は、そもそも注目を集められていない広告です。
売り場へ連れてくる力が弱ければ集客には繋がらないからです。
広告は基本的にスルーするものとして私たちにプログラミングされています。
「誰も広告を見たいと思っていない」という前提に立つことで、注目を集める広告を作ることができます。
伝わる広告を作るためには、広告でベネフィットを伝えてください。
顧客はベネフィットを手に入れるために、商品を買っているからです。
そしてそのベネフィットが伝わるようにするために、「語るな示せ」で広告を作ってください。
直接的に、企業のメッセージを伝えるのではなく、相手が自分の言葉で意味を理解できるように、イメージを伝えるようにしてください。
イメージで伝えられた情報は、自分の言葉で脳に届きます。
それによって、人が判断したことを指示されたのではなく、自分で判断したことを自分で選んだ状況が生まれ、行動しやすくなります。
人は課題を解決したいと思っています。
そのために役に立つ商品を手に入れたいと思っています。
でも、企業から指示をされたいとは思っていません。
なので私たちマーケターは、見込み客に伝わる表現を作らなければいけません。
そのために、「語るな示せ」の力をぜひ活用してください。