ディスプレイ広告はweb広告で集客を拡大していくための必須の広告です。
ディスプレイ広告で成果を出すためには、以下の手順に沿って運用します。
ディスプレイ広告で成果を出すための手順
- 設計をする
- 広告を作る
- 設定をする
- 結果を調べる
- 改善をする
PDCAを回すということですね。
前回、設計する〜広告を作るまでお話ししました。
今回は、ディスプレイ広告で成果を出すためにはどんなPDCAの回し方をすれば良いのか、3.設定する〜4.改善するまでをお話しします。
1.設計する〜2.広告を作るまでについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください⬇︎
目次
ディスプレイ広告でやるべき配信設定とは
web広告を配信するために、媒体の管理画面に広告を設定していきます。
これを「アカウント構築」と呼びます。
広告の配信はアカウントを作ることから始まります。
使う媒体によって若干の仕様の違いはありますが、基本的には以下の3層構造になっています。
広告アカウントの構造
- 広告キャンペーン
- 広告セット(広告グループ)
- 広告
広告キャンペーンの中に広告セットがあり、広告セットの中に広告があるという形です。
1つの広告キャンペーンには複数の広告セットを設定でき、1つの広告セットには複数の広告が設定できます。
設定する内容
- 広告キャンペーンでは、広告の目的や予算上限など全体に関わること
- 広告セットでは、ターゲットや配信面・入札単価など配信に関わること
- 広告では、広告のリンク先や広告表現など広告クリエイティブに関わること

ディスプレイ広告で成果を出すための3つの基本配信
ディスプレイ広告は潜在層向けの「ターゲティング配信」と、顕在層向けの「リターゲティング配信」があります。
さらに細かく設定があるのですが、詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてみてください⬇︎
初心者はいろんなことを知る必要はありません。いろいろやろうとしても結局できずに終わってしまうからです。
なので、何事にも基本から入るようにしてください。
ディスプレイ広告にも必ずやるべき基本配信があります。まずはこれから始めてください。
ディスプレイ広告の3つの基本配信
- LP訪問リターゲティング
- CV類似ターゲティング
- デモグラフィックターゲティング
この3つのターゲティング方法で配信することで、ディスプレイ広告の基本は押さえられます。
それぞれ解説していきます。
LP訪問リターゲティング
LP訪問リターゲティングは、ランディングページに訪問したことのある人を対象にした広告です。
配信対象者の塊のことを「リスト」と呼びます。
web広告では、いろんなデータの切り口でリストを作ることで、ターゲットを細かく分類することができます。
LP訪問リターゲティングで必ず設定してほしいのが、「1日以内にLP訪問した人」のリストです。
今日見た商品と1年前に見た商品だったら、どっちの方が欲しいと感じていますか?
聞くまでもなく今日見た商品ですよね。
何も買わずにランディングページから出て行ったとしても、商品に対する興味が無くなったのかと言えば、そうではありません。
でも、時間が経てばその気持ちはどんどんと薄れていきます。
なので、熱が冷めないうちに魅力を伝えて再訪問を促すのがリターゲティングの役割です。
配信リストが小さいとなかなか配信されないので、LP訪問30日以内というリストもよく使われますが、期間が長くなればなるほどそのリストにいる人の商品への興味はどんどんと薄れていくので、できるだけ近いタイミングでLP訪問した人に広告を出すようにしてください。
個人情報保護の観点から、web上の個人を特定するデータの利用に制限がかかっていく流れがあるので、そもそも期間の長い過去データを広告に活用できなくなっていくとされています。
CV類似ターゲティング
初心者がちょっと難しく感じるのがこの「類似ターゲティング」です。
「類似オーディエンス」とも呼ばれています。
特定の人に似た行動を取っている人に対して、広告を出すという仕組みです。
CV類似ターゲティングの場合は、コンバージョンした人に似たweb行動を取っている人を特定することになります。
商品に興味を持って購入した人が取っていた行動と似たような行動を取っている人は、商品に興味を持ち買う可能性が高いという判断をされるということです。
すごいを通り越して怖いと思う人もいますよね(笑)
行動データの例
- 検索した言葉
- 見ていたページ
- 見ていた動画
- クリックした広告
- 年齢や性別などのプロフィール
- 買った商品
- フォローしている人
- コメントした投稿
- webを利用する場所や時間
など。
もっとたくさんの項目がいろんな組み合わせで掛け合わされて、似ている似ていないを判定されています。
媒体が持っているデータ量が増えたことと、AIによってそれらを掛け合わせて計算する技術が向上したことで、コンバージョンしてくれる可能性の高い人に対して広告できるようになっています。
LP訪問した人の類似などの設定も可能ですが、マッチしないユーザーへの広告も増えてしまうので、基本的には購入や申込などのコンバージョンをした人をベースにした類似リストを作成してください。
配信量が少ない場合は、類似率を大きくしていくことで、対象リストを増やすことができます。
なので、最初は類似率1%で配信してみて、状況をみながら2%、3%と増やして配信してみてください。

デモグラフィックターゲティング
性別や年齢などの「デモグラフィック情報」と呼ばれるデータで、ターゲットを特定する広告配信方法です。
より多くの人に広告配信する場合に使います。
ターゲティングのために使うというよりは、広告を出したくない相手を除外するために使ってください。
例えば
- 男性向けの商品を販売しているので女性を除外設定
- ビジネスパーソン向けの販売をしているので、若者と高齢者を除外設定
- 一戸建てを販売しているので独身を除外設定
など。性別や年齢だけで、商品のターゲットが決まるわけではないので、明らかに商品を買わない人だけ除外して、できるだけ広く広告を配信するために使います。
デモグラフィックターゲティング配信は、リターゲティングリストを集めるために活用できる配信方法です。
ディスプレイ広告の課題を見つけるレポートチェック法
広告を配信したら必ず結果を確認してください。
ディスプレイ広告のレポート確認手順
- 広告キャンペーン毎の結果を見る
- 広告セット毎の結果を見る
- 広告毎の結果を見る
状況把握の基本は、大きなところから小さなところへです。
広告レポートも同じで、広告キャンペーンから広告へと見る塊を小さくしていきます。
ディスプレイ広告でチェックすべき項目
web広告はありとあらゆるデータを見ることができるのが最大のメリットであり、データがありすぎて何を見ればわからないというのが最大のデメリットです。
なので、見るべき項目を絞って見てください。
ずばり「広告への反応」に関するデータだけ見てください。
具体的には
- クリック数
- クリック率(CTR)
- クリック単価(CPC)
の3つです。
コンバージョンに関するデータを気にしている企業は多いですが、コンバージョンだけを見ていてはディスプレイ広告の改善はできません。
なぜなら、コンバージョンするかどうかはランディングページの影響を大きく受けるからです。
広告運用はうまくいっていても、ランディングページが悪ければコンバージョンには繋がりません。
原因と結果をより厳密に見ていくために、コンバージョンだけを見るレポートのチェックはやめてください。
なので最も意識して見てもらいたいのが「広告への反応」です。
配信するターゲットや広告クリエイティブがずれていれば反応してもらえません。
反応が悪い広告は、広告のクリック数は少なくなり、クリックにかかるお金も高くなります。
クリックに関係するデータを見れば、広告の良し悪しがダイレクトに把握できます。
web広告は広告への反応が高ければ高いほど、クリックにかかるお金が安くなる仕組みがあります。
難しいことは覚えておかなくて良いので、広告への反応を高めることは良い結果に繋がるということだけ覚えておいてください。
課題を見つけるための分析方法
では、どこに課題があるのかを調べる方法についてお話しします。
分析に苦手意識を持っている人は多いですが、やり方さえわかれば簡単です。
分析とは、分けて比べて違いを見つけることです。
分析の3ステップ
- 「良い状態」を定義する
- いろんな切り口で分けて比べる
- 「良い状態」の理由を見つける
まず、どんな状態が「良い」と言えるのかを決めます。
ディスプレイ広告の場合
- クリック数が多い
- クリック率が高い
- クリック単価が安い
が「良い状態」です。
なので、いろんな切り口で「良い状態」の広告を探します。
例えば
- 前月と今月の期間の違い
- 広告キャンペーンAと広告キャンペーンBの違い
- ターゲットAとターゲットBの違い
- 広告Aと広告Bの違い
- 配信面Aと配信面Bの違い
など。
そして、最も「良い状態の広告」がどれで、他の「良い状態ではない広告」とどんな違いがあるのかを探します。
同じ広告を出していて、ターゲットAとターゲットBを比べた時、ターゲットAの方が「良い状態」なら、ターゲットAが広告にマッチしたターゲットだと言えます。
ディスプレイ広告の改善アクション
広告の運用結果の分析ができたら、課題に対しての解決アクションをとります。
これを「改善」と呼びます。
改善には「予算配分の見直し」と「広告設定の見直し」があります。
予算配分の見直しとは、パフォーマンスの高い広告に予算を寄せて、パフォーマンスの悪い広告の予算を削るもしくは広告を止めることです。
広告設定の見直しとは、パフォーマンスの悪い広告の設定を変えることです。
例えば
- ターゲットを変える
- 広告クリエイティブを変える
- 入札単価を変える
広告設定を見直す時、基本的にはパフォーマンスの悪い広告は止めて、新たに作り直してください。
最近の広告媒体は、AIが学習して自動的に最適化がかかる仕組みになっています。
なので悪い広告を出し続けていると、悪い結果に対して最適化がかかる状態になり、良くなりようがなくなってしまいます。
一度広告を止めて、ターゲットや配信面を変更したり、広告クリエイティブを入れ直したりしてください。

状況別ディスプレイ広告の改善アクション
1.コンバージョンが少なく、獲得単価が高い
コンバージョンが少なくなると、獲得単価(CPO)が高くなります。
例えば
100万円使って10件獲得できていればCPOは10万円ですが、1件しか獲得できなければCPOは100万円です。
なので獲得単価が高い場合は、基本的にはコンバージョン数を増やす改善が必要です。
原因
コンバージョン数が少ないのは広告の問題というよりは、ランディングページ側の問題です。
なぜなら広告を見た段階で買うかどうかが決まるのではなく、ランディングページの内容を見て買うかどうかを決めるからです。
もちろん、コンバージョンしやすい「見込み度の高い人の反応を取れる広告」と、コンバージョンに繋がりにくい「見込み度の低い人の反応をとってしまう広告」は存在します。
でも、最終的な購入への影響力で考えるとランディングページの内容の方が大きいので、広告側でやれることは限られます。
対策
コンバージョン数が少なくCPOが高い場合は、ランディングページの最初に表示される部分(ファーストビュー)の離脱率を調べてください。
20%以上が離脱しているとファーストビューでターゲットの興味をグッと引きつけられていない状況です。
ファーストビューの別パターンを作って、配信テストをしてください。
広告運用とランディングページ運用を分けていると、広告運用だけでなんとかしようと無駄な努力をしてしまいがちなので、ランディングページも含めたweb集客に取り組むようにしてください。

2.クリック数が少ない
もっと広告したいのに、なかなかクリックされず、ランディングページに十分に訪問してもらえていない状況はよくあります。
原因
クリック数が増えない原因は、「入札単価が低い」か「ターゲットリストが小さい」かです。
web広告は基本的に入札制です。より高くお金を払うことで、広告が出やすくなります。
同じターゲットや配信面に対して、他の企業の方がより高い入札単価を設定していると、競り負けてしまい広告が出せなくなります。
ターゲットリストが小さい場合も同様に、広告は出づらくなります。
配信対象が少ないということは、広告を出せる機会が少ないということだからです。
例えば
配信リストが10人分しかないとすると、その10人の人が広告枠の表示されるwebページを見た回数しか広告を出すチャンスがありません。
1人が1日に10回webページを見るとすると、1日に100回しか広告を出すチャンスがありません。
しかも何千社、何万社とその広告枠を取り合っているので、広告が出る回数はもっと少なくなります。
対策
なので、ターゲットリストのボリュームが小さいなら、より広いターゲットを設定してリストのボリュームを大きくしてください。
リターゲティング用のリストなら数万ユーザー、ターゲティング用リストなら数十万ユーザーあれば十分です。
3.クリック単価が高い
1クリックに数百円かかってしまっているケースもあります。予算が限られている場合は、十分なクリックが集められないので、集客に繋げづらくなるので改善が必要です。
原因
クリック単価が高くなるのは、「配信リストが少ない」か「広告クリエイティブが悪い」かです。
配信リストが少ないと、”配信先が少ない=出せる広告枠が少ない”ということになり、少ない広告枠を多くの企業で取り合うことになるからです。
web広告は、より高い広告費を支払える企業が優先されます。
なので、大きな予算を使える大企業の広告は優先的に配信されます。
配信リストが小さいと、大企業の広告とバッティングする可能性も高まります。
なので、できるだけ広告を出すチャンスを増やして、低い入札単価でも戦える広告枠を見つけることが大切です。
対策
ターゲットリストを拡大することで、予算の大きな企業との戦いを避けることができます。
設定している入札単価でも競り勝てる広告枠が出てくる可能性が高まるからです。
また反応の高い広告は、ユーザーにとっても良い広告だという判定がされます。
媒体社はユーザーにとっても良い広告を優先的に配信したいと考えているので、クリック率が高ければ入札単価で他社に負けていても、優先して広告配信できる状況があります。
広告のクリエイティブを入れ替えることで、広告への反応を高めてください。
広告が配信されるかどうかの具体的な判断基準は示されていませんが、より多くの人により反応してもらえる広告を出せば、クリックは増えて、クリック単価も抑えられるということを覚えておいてください。
web集客の基本のキホン!ディスプレイ広告で成果を出すための方法<実践編> まとめ
ディスプレイ広告を出せる媒体はいろいろありますが、基本的な考え方と設定する項目、運用の方法は同じです。
ディスプレイ広告の設定
広告アカウントの構造
- 広告キャンペーン
- 広告セット(広告グループ)
- 広告
設定する内容
- 広告キャンペーンでは、広告の目的や予算上限など全体に関わること
- 広告セットでは、ターゲットや配信面・入札単価など配信に関わること
- 広告では、広告のリンク先や広告表現など広告クリエイティブに関わること
必ずすべき配信設定は「LP訪問リターゲティング」「CV類似ターゲティング」「デモグラフィックターゲティング」の3つです。
web集客の要となるリターゲティング広告を配信するために、「CV類似ターゲティング」「デモグラフィックターゲティング」を活用して配信リストを集めます。
ディスプレイ広告の分析
ディスプレイ広告のレポートでチェックするのは、「広告の反応」が良かったのか悪かったのかです。
ディスプレイ広告で見る項目
- クリック数
- クリック率(CTR)
- クリック単価(CPC)
クリックが多いか少ないか、クリック単価が高いか安いか、クリック率が高いか低いか。
この観点で広告のパフォーマンスを評価します。
ディスプレイ広告の改善
ディスプレイ広告の改善でやることは、クリックをより多く集められるようにすることと、クリック単価をより安く抑えることです。
クリックを多く集めるための改善アクション
- 入札単価を上げる
- 配信リストのボリュームを増やす
- 広告を入れ替える(クリック率を高める)
クリック単価を抑えるための改善アクション
- 入札単価を下げる
- 配信リストのボリュームを増やす
- 広告を入れ替える(クリック率を高める)
ターゲットを変えることと、広告を変えることがディスプレイ広告を改善するための手段となります。
なので、ターゲットのパターンを複数検討して、そのターゲットにあった広告パターンを複数用意して、パフォーマンスが最大化される組み合わせを探している作業が、ディスプレイ広告の運用となります。
