マーケターの仕事は、設計・実行・改善です。
設計の仕事は、「誰に・何を・どのように」を決めるところからスタートします。
売上を増やすためには、どれくらいやるのか?が決められているかどうかで、売上が増やせるかどうかが決まります。
今回は、「売上を増やす目標の立て方」についてお伝えします。
売上が増えない、目標が達成できない、仕事の生産性が上がらないと悩んでいる方には、役に立てていただける内容になっています。
目次
目標が必要な理由
そもそも、目標の重要性を知らない人は多いです。
私たちの行動力は目標へ向かってはたらきます。
なので、必ず目標地点が必要です。
そして目標は、どうやってそこへ行くのかがわかる地点でなければいけません。
ゴールが具体的にあり、そこへの道のりが見えていなければ、どこへ行けば良いのかわからないからです。
例えば
マラソンもゴール地点があるから、ランナーはそこを目指して前に進めます。
もしゴールがなければ、どこへ向かって良いのかわからず、どこまで走り続ければいいのかわからず、みんな走るのをやめてしまいます。
売上が上がらないのは、売上を上げるための目標を立てていないからです。
どこに行くかわからないままみんなに走らせているような状況です。
なので、売上目標を設定していない企業はいないと思いますが、目標を立てていてもなかなか期待通りの成果を出せていない時に、見落とされていることがあります。
それが「目標を数字で表すこと」です。
目標の達成度合いが変わる数値化の力
目標の設定の仕方次第で、結果のレベルが変わります。
人には求められたこと以上の事をしない傾向があるからです。
例えば
マラソンが好きなだけ走って、たくさんの距離を走れた人が勝つというルールだったら、42.195kmも走れない人がたくさん出ると思います。
人は自分の基準だと、本来出せる力よりも少なく見積もる傾向があるからです。
ですが、具体的な基準を示すことで、より大きな力を出せます。
それを証明した実験があるのでご紹介します。
目標を具体的に設定した事で成果を増やせる事を証明した実験
木材の運送業者の積荷状況を調査しました。
法律で定められた最大積載量の約60%の量しか積んでいないことがわかりました。
そこで、「積載量は上限の94%にするように」と具体的な数字を示しました。
結果
木材は最大積載量の90%まで積まれるようになりました。
今まではおそらく、多くの人が「半分以上積んでおけばいいだろう」という自分基準で運搬をしていました。
でも94%という数字を示された事で、目指すレベルが具体的になりました。
それによって、94%を目掛けた動き方に変わったと言うことです。
その結果、1.5倍の成果を出すことができました。
人が求められた以上のことをしない傾向に変わりはありません。
でも、94%と言われているところ60%だったら、ちゃんとやっていないように感じるので、できるだけ94%に近づけられるように行動しようという力がはたらいたと言えます。

人の力を引き出す目標設定の力
人は目標の立て方で出せる力が変わります。
人が自分の力を小さく見積もる傾向があることを証明した実験を紹介します。
自分の力を過小評価する傾向を証明した実験
「ジャンピングジャックを50回するとしたら、何回目ぐらいで疲れると思うか?」と聞きました。
ジャンピングジャック…両手・両足を開いたり閉じたりしながら跳ぶ運動
ほとんどの人が30回くらいと答えました。
「ジャンピングジャックを70回するとしたら、何回目ぐらいで疲れると思うか?」と聞いたら、ほとんどの人が50回くらいと答えた。
いずれの場合も、自分の力を少なめに評価しています。だいたい3分の2程度の力は出せると思うことがわかります。
これから分かることは、数の大小は関係なく、基準より少し下に自分のできるレベルを持ってくる傾向があるということです。
なので、目標が高ければ、それを3分の2程度にしたレベルであれば、達成できる力があると考えるので、結果的に今よりも高いレベルの結果を出すことができると言えます。
目標設定の落とし穴
ですがここで注意しなければいけないことがあります。
それは、「目標を高く設定しすぎると、そもそも頑張れない」ということです。
「高くした方がいいと言ったり、高く設定しない方がいいと言ったり、どっちなんだ!?」と思うかもしれません。
先ほどの運送業者の例だと、最大積載量を100%にしようという目標を立てた場合、「そんなの無理だ」「100%にするためには時間も労力もかなりかかる」と思って、その目標を達成しようとする気持ちが薄れていってしまうという感じです。
そうなれば、「頑張ってもどうせ無理なんだから適当にやろう」という人が出てきて、目標の水準に近づける人が少なくなる可能性があります。
これを避けるために、高すぎない目標レベルの設定が大事です。
では、どれくらいが高すぎない目標レベルなのかについてお話しします。
今よりも売上を増やせる目標設定のレベル
結論、今出せている成果の1.5倍の成果を目指してください。
もちろん事業規模によりますが、これからもっと成長していきたい中小企業にとっての目安にはなります。
運送会社の例では、元々60%だった積載量が、目標を94%にすることで90%まで引き上がりました。
目標設定したことによって、1.5倍の仕事量になったということです。
90%以上にならなかったことから考えると、今の自分の1.5倍の成果であれば、たとえ今よりも高いレベルだったとしても目指せる目標だと考えられます。
達成できない目標は立てる意味がありません。
でも、簡単に達成できる目標では、成長が遅くなります。
なので、具体的で難し過ぎない、受け入れられるレベルの目標を示すことで、今よりも頑張れる状態を作ることが大切です。
そうすれば、今よりも売上を増やし続けることができます。
おまけ:急成長するための目標設定の方法
スタートアップ企業など急成長を目指す企業には、今お話ししたような目標設定はお勧めしません。
なぜなら、着実に売上は増やせるものの、時間がかかるからです。
スタートアップに最も必要なのは圧倒的なスピードです。
大企業がパワーで勝負にきたらひとたまりもありません。
そうなる前に一気に市場を作り、他を寄せ付けない状態を作らなければいけないので、1.5倍の目標を立て続けるやり方では遅すぎます。
なので、より高いレベルの目標設定をして一気に駆け上がっていく必要があります。
「そんな無茶な目標を立てたら、頑張れなくて結果を出せないのでは?」と思うかもしれません。
ですが、その無茶な目標を達成するために、心血注げる人たちが集まっているのがスタートアップ企業です。
なので、常人ではできないような働き方をすることで、3倍5倍10倍の結果を出すことができます。
もしあなたが急成長させたいと思っているなら、「そんなの無理だ」と思われるような目標に対して、本気で取り組めるようなメンバーを集めてください。
でも、多くの企業がそういう企業ではありません。
あなたが今よりも売上を上げたいと思っている企業のマーケターなら、今の1.5倍の売上をどうやれば作れるかを考えて、プランを立てていくことをお勧めします。
まずは今の自分たちがどれくらいの結果を出せているのか、1.5倍の結果を出すために何が必要なのかを考えてみてください。
売上を増やす目標の立て方|中小企業が成長するための考え方 まとめ
目標は小さくても大きすぎても機能しません。
人には求められた以上の事をしない傾向や、自分の力を少なく見積もる傾向があるので、その性質を理解した目標設定が必要になります。
具体的な数字を示されれば、それに向かって行動する力がはたらきます。
なので、目標は数値化するようにしてください。
そしてそのレベルは企業が目指す地点によりますが、今の1.5倍に置く事で、達成可能性が高く、着実に成長できる目標となります。
今の売上を1.5倍にするために何が足りていないか、それを補うためにどんな行動が必要かを考えてみてください。