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売れる値付け!価格戦略の成功事例

値付けはとても重要です。

価格の付け方で、得られる利益が変わるからです。

利益が多ければ事業への投資をしやすくなり、より拡大させやすくなります。

では、最適な値付けとはいくらなのか?

価格はビジネスモデルでほぼ決まります。

今回は、3つのビジネスを成功へ導いている価格戦略についてご紹介します。

 

価格戦略事例① 格安酒店カクヤス

カクヤスは東京23区を中心に事業を展開しています。

ビール1本でも無料で配達してくれるというビジネスモデルで人気です。

メンバー
無料で配達して損しないんですか?

実は、無料配達した方が人件費がかからないんです。

カクヤスの配達員は、1時間に7件前後の配達ができますが、お店でお客さんを待っていると何もしていない時間が生まれます。

しかも買いに来るお客さんは自分で商品を持って帰るので、お店での購入単価は安めです。

つまり、お店でお客さんがこない時間に人件費を払うよりも、宅配している時間に人件費を払った方が、時間あたりの売上に対する費用が小さくなるということです。

全員がビール1本の宅配を依頼したら損は出ますが、実際にはそんな注文はほぼないと思うので、宅配無料でも十分に利益が出るビジネスモデルになっています。

ポイント

商圏を広げすぎないことがポイントです。

配達の場所が離れれば離れるほど、1時間に配達できる件数が減ります。つまり売上が減ります。

なので、効率的に配達できる商圏を設定する必要があります。

カクヤスではそれを1.5kmに設定しています。

店舗ビジネスをされている方は参考にしてみてください。

 

価格戦略事例② おかしのまちおか

首都圏を中心に事業を展開しているお菓子屋さんです。

行ったことがある方はわかると思いますが、スーパーやコンビニよりも安い大量のお菓子をついつい大人買いしてしまいます。

2割引き、3割引きは当たり前、半額以下の商品もあります。

メンバー
なんでそんなに安くできるんですか?賞味期限切れとか?

おかしのまちおかの安さの秘密には3つのポイントがあります。

  1. 商品の陳列
  2. 商品の新規性
  3. 中抜きのビジネスモデル

それぞれ紹介します。

1つ目は、商品の陳列です。

スーパーやコンビニには商品を並べる棚がありますよね?

什器(じゅうき)と呼ばれる設備が、おかしのまちおかにはほぼありません。

商品が入ってる段ボールをそのまま積み上げて、商品を陳列しています。

私たちが買う商品の価格には、いろんな費用が含まれています。

商品を販売するための什器を設置すれば、その費用も価格に反映されます。

おかしのまちおかでは設備にお金がかかっていないので、費用が抑えられ、驚きのやすさを実現しています。

さらに、いつでも簡単に商品を入れ替えられるので、メーカーで在庫が余っているとそれを通常よりも安く仕入れて、商品を入れ替えることができます。

コンビニなどでは棚に並べる商品が先々まで決まっているので、このような臨機応変な仕入れは難しくなります。

商品陳列が商品原価を抑えるためにも一役買っていると言えます。

2つ目は、商品の新規性です。

お菓子はじっくりと検討して買う商品ではありません。

気軽に新しい商品に手を伸ばせる商品です。

なので、バラエティ豊かな商品ラインナップにすることで、食べたことのないお菓子も買ってもらいやすくなります。

しかもいろんなお菓子が並んでいると、それだけでワクワクしますよね。

おかしのまちおかに一度足を踏み入れると、お菓子を買うのに使ったことのないくらいのお金を使っていたりします。

でも1個1個が安く、手には大量のお菓子があるので、買い物の満足感は半端ないです。

買い物自体が楽しい体験になるので、顧客はまた買いに来たいと感じ、リピーターが増えていく仕組みができています。

商品の入れ替えをしやすい陳列も、常にバラエティ豊かなお菓子を並べるために効果を発揮しています。

3つ目は、中抜きのビジネスモデルです。

おかしのまちおかは元々、問屋でした。

問屋というのは、メーカーから商品を買い付けて、それを小売店へと販売する事業体のことです。

私たち消費者が買う商品の価格は、メーカーの販売価格+問屋の手数料+小売店の手数料で決まっています。

なので、小売店の手数料分が無ければその分、消費者の購入価格が下げられます。

おかしのまちおかは、問屋でありながら小売業も行うことで、最終的な販売価格を抑えても、十分に利益が出るビジネスモデルになっています。

ユニクロなどはメーカーでありながら直接小売をしているので、あれだけ高機能な製品を低価格で販売できています。

はむ師匠
作って自分で売るのが1番安くできるね〜

価格戦略事例③ 美容室と理容室

髪の毛をカットするときに利用する美容室と理容室ですが、この2つは異なるビジネスモデルで事業展開しています。

美容室の平均単価は1万円程度、理容室の平均単価は3,000円程度です。

この違いの理由には2つあります。

1つが商品の違いで、もう1つは商圏の違いです。

美容室と理容室の違い① 商品の違い

美容室にはカット以外にもトリートメントやカラーなどのオプションが多く、客単価が上がる傾向にあります。

理容室は、イメージ的にも男性が散髪にいくお店という感じですよね。

美容室はカットというベースの商品がありつつ、その他のオプションで価値の上乗せをしていくので「プレミアム価格戦略」と呼ばれます。

理容室はカットというベースの商品を、安く手早く提供することで顧客を集めるので「ディスカウント価格戦略」と呼ばれます。

美容室と理容室の違い② 商圏の違い

美容室と理容室は商品構成以外に、対象とする顧客も違います。

美容室は広い範囲の人を対象にしたビジネスで、理容室は狭い範囲の人を対象にしたビジネスです。

美容室へは電車に乗って行く人はいますが、理容室へ電車に乗って行く人はいませんよね。

なぜわざわざ電車に乗り、高いお金を払って美容室へ通う人がいるのかというと、髪を切る以外の欲求を満たすためです。

ただ髪を切るだけなら、近場で安い、地元の安心できるお店が良いと思います。

でも、「お洒落な街で、お洒落な人に、お洒落な感じに仕上げてほしい」「そういう場所に通っている自分をイケてると感じたい」と思うなら、近場の理容室ではその欲求は満たせません。

なので、髪を切る+αの欲求を満たすために、遠くの美容室へ行く人が多いということです。

美容室は、お洒落な立地に出店していたり、有名な美容師がいれば、どこからでも美容室は集客できます。

このことから、ビジネスとして拡大しやすいのは美容室の方だと言えます。

ですが、美容室はコンビニの4倍以上の数があり、かなりのレッドオーシャンです。

競争が激しく、どこの美容室も顧客獲得に頭を悩ませています。

なので、その美容室へ行く理由、他のお店では満たせない+αの価値提供が必要になっています。

そのためには、専門性を打ち出すのが1つの解決策になります。

例えば

  • 男性専用の美容室
  • 薄毛に悩む男性専門の美容室
  • ショートカット専門の美容室
  • カラー専門の美容室など

専門店にすることで、多くの美容室の中で特別な存在になれます。

その専門性がよりニッチであればあるほど、それを求めている人から求められるお店にできます。

 

売れる値付け!価格戦略の成功事例 まとめ

価格の付け方によって、事業は拡大しやすくもなり、縮小せざるを得なくもなります。

消費者がその商品に感じている値頃感よりも高ければ買ってもらいにくく、安ければ買ってもらいやすくなります。

でも、他の商品の売り手も同じように消費者の値頃感に合わせた価格帯にしてくるので、価格だけで違いを出すのは難しくなります。

なので、プラスの価値を提供することで、より高い商品にして、安い価格で競争をしないようにしなければいけません

安くして、たくさんの人に買ってもらう「ディスカウント戦略」もありますが、このためには大量生産や大量仕入によって原価を下げなければなりません。

さらに大量に作ったり、仕入たりした商品を大量に売らなければいけません。

これができるのは一部の大企業だけです。

なので、99%以上の企業は、他社の商品よりも付加価値をつけて、より高い価格を設定できなければいけません。

そのためには、あなたの商品でしか解決できない問題を抱えた顧客にのみ、マーケティングしていくことが必要です。

 

 

 

  • この記事を書いた人
はむ師匠

はむ師匠

マーケティングの力でハッピーになれる人を増やすために、マーケティングの知識を発信しているマーケティン熊。 「マーケティングを使える人が増えれば、今よりも世の中は良くなる!」と信じて、大企業からスタートアップ企業まで、今まで100社以上のマーケターにマーケティングの使い方を指導してきている。

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