設計

より高く売るためのたった1つの価格戦略

マーケティングする上で、価格は重要です。

同じような商品なら価格で選ばれるからです。

誰しもより高く買ってもらいたいと思っているのに、気づけば競合商品より如何に安くするかを考えてしまっています。

値引き合戦の先にあるのは、事業の撤退です。

なので、私たちマーケターはより高く売るための「価格戦略」を持っていなければいけません。

今回は、より高く売るための価格戦略をお伝えします。

なかなか売れない、競合が安くて太刀打ちできない、とお悩みの方は是非読んでください。解決のヒントが手に入ります。

 

価格の決まり方

価格には大きく2つの決め方があります。

「作るためにかかるお金から考える方法」と「売っている商品の価格から考える方法」です。

作るためにかかるお金から考える方法

商品を作るためには作るためのお金がかかります。

これを「原価」と言います。

そして、作った商品を売るためにかかる費用と利益を乗せた金額が、商品の価格となります。

作った商品を売るためにかかる費用を「販売管理費」と言います。

例えば

缶詰屋さんをしてるとします。

缶詰1つ仕入れるのに、50円かかります。これが1個あたりの原価ですね。

1日に1,000個の缶詰を販売する時、原価は50,000円です。

その缶詰を販売するための場所の家賃が月10万円で、販売のためにかかる人件費などの費用が月20万円だとします。

1ヶ月に30万円の費用がかかっているので、1日あたりだと費用は1万円となります。<1万円=(10万円+20万円)÷30日>

1個あたりの費用は10円となります。<10円=1万円÷1,000個>

利益を20%確保したい時、15円が利益額になります。<15円=(原価50円+販売管理費10円)÷4>

メンバー
÷4って何ですか?
はむ師匠
説明するね

原価から利益額を計算する式</p> <p>

利益率はこの計算で出します。<利益 ÷ 売上 × 100>

ですが原価から利益額を計算する時、売上も利益もわからないので、この式からでは計算できません。

利益率20%を確保する時、費用が売上に対して80%の額になっていれば、残りの20%の額が利益となります。

なので、費用から利益額を計算する場合は費用の額を80で割り、それに20を掛けたものが売上に対する20%の額、つまり利益額となります。

売上を100としたときに、1あたりの金額を調べて、それを20にするという考え方です。

すると、全体100の内、20分がいくらなのかを出すことができます。

<費用÷80×20=費用÷4>

メンバー
÷80×20が÷4になってたんですね

この缶詰の販売価格は費用60円+利益15円で75円ということになります。

1日に1,000個完売すれば、75円×1,000個=75,000円の売上になり、原価が50,000円、販売管理費が10,000円、利益が15,000円というビジネスになります。

30日続けることで、売上225万円、利益45万円という感じです。

売っている商品の価格から考える方法

もう1つの方法は、作るものと売ることにかかる費用からではなく、買ってもらえる価格からスタートする考え方です。

すでに同じような商品がいくらくらいで販売されているかを調べてそこから調べます。

この価格を「相場」と言います。

顧客には「この商品は、いくらくらい」という判断基準があります

これは過去の経験から作られるもので、「価値観」の1つです。

例えば

  • ペットボトルの水だったら100円前後
  • ペットボトルのお茶だったら150円前後
  • コンビニのコーヒーだったら200円程度
  • カフェのコーヒーだったら400円程度

という感じです。

ペットボトルの水が500円したら買いませんよね。

なので、すでに販売されている類似商品の価格帯に合わせるのが、この価格戦略です。

この場合、販売価格が決まっているので、先ほどの例とは逆の発想になります。

例えば

缶詰屋さんをしているとします。

世の中の缶詰の相場が75円だとします。

利益率20%を確保したい時、利益は15円になります。<15円=75円×20%>

利益を引いた残り60円で、原価と販売管理費を賄うことになります。

月の家賃20万円、人件費に30万円、その他販売管理費に10万円かかる場合、1日あたり2万円の費用がかかる計算です。<2万円=(家賃20万+人件費30万+その他10万)÷30日>

1日に1,000個売れる見込みがあれば、1個あたりの費用は20円になり、原価は1個あたり40円しかかけられなくなります。<原価40円=売上75円-利益15円-費用20円>

40円で缶詰を仕入れるためには、大量に発注して1個あたりの仕入れ金額を下げる交渉をするか、缶詰自体の品質を落とす必要があります。

それができない場合は、缶詰の仕入れに1個50円使えるように、費用を抑えるという方法をとります。

安い家賃の場所を選んだり、人件費を下げたり、売りたい価格に合わせて費用面の調整をして、ビジネスとして利益を出せる価格モデルにしていきます。

原価を下げたり、販売管理費を下げらることで、販売価格を下げるというやり方は、ある程度の事業規模がなければできない価格戦略だと言えます。

 

高い価格と安い価格の正体

価格は価値を測る物差しですが、人によってその物差しの長さは変わります。

同じ100円でも、人によってその価値が違うということです。

100円で売っている水を高いと思う人もいれば、安いと思う人もいますよね。

高いと思っている人はおそらく水を買わない人たちです。

水を飲まないし、水を使うときは水道水で十分と思っているはずです。

そもそもいらないもの、お金がかからないものに100円を払う意味がわからないと思っています。

100円の水を安いと思っている人は、水で比較するのではなく、その水を飲み物と比較しています。

お茶やジュースなどは150円前後するので、それと比べれば100円の水は30%以上も安い商品になります。

このように、価格は絶対的なものではなく、相対的なものです。

相対的というのは、他のものと比べて判断されるものという意味です。

なので、高い価格や安い価格があるのではなく、高いと感じる価格と安いと感じる価格が、人それぞれにあるということです。

これを知っていれば、「他社の方が安いから売れない」は言い訳だと気付けると思います。

マーケターは商品の価値を正しく届けることが仕事です。

商品の価値を正しく届けることができていれば、価格として表示されている数字が他社の商品よりも大きい数字でも買ってもらえます。

顧客は、「感じる価値>支払うコスト」だと思ったときに、あなたの商品を買います

なので、感じる価値を高めることで、金額的に他社よりも高くても買ってもらうことはできます。

 

売れる商品にするための価格戦略

では、どうすれば売れる価格にできるのかをお話しします。

それは、より高価格帯の商品の仲間だということをわかってもらうことです。

水を水として売るとき、どれだけ良い水だったとしても水の相場から大きく離れることはできません。

例えば

コンビニで売ってるペットボトルの水を普段から飲んでいる人がいて、その人にコンビニで高い水を売るとします。

ヒマラヤの奥地の源泉にだけ入っているミネラル成分があって、年間の汲み上げ量が決められているような水です。

一般的には出回らない水なので原価がかかっているため、販売価格は通常の水の5倍します。

普段100円のペットボトル水を飲んでる人が、珍しい水だからと言って500円の水をコンビニでは買いませんよね。

話のネタに飲んでみることはあるかもしれませんが、毎日飲むとは考えられません。

でも

その水をバーでお酒を割るための水として販売したらどうでしょうか?

お酒が1杯1,500円以上するお店で、1本500円の希少なお水だったら買う人はたくさんいると思います。

飲み物の種類としては、お酒とお水は違うものです。

でも、同じ場所に並ぶことで比較対象が変わり、高い水からお酒をより美味しくする飲み物へと見方が変わります。

例えば

5,000円の美容液を売っている時、他の美容液と比べられると安くは感じてもらえませんが、美容という価値を提供している他の高価格商品、例えばエステなどと対比させることで、5,000円を安く感じてもらうことができるという感じです。

これを「価格のポジショニング」と言います。

顧客の中にある「相場感」を利用して、より高価格なものの仲間として商品を見せていくやり方です。

どの価格帯の商品にポジショニングするかによって、買ってもらえる価格が決まります。

コンビニの水として見られるのではなく、バーの飲み物として見られるようにすることで、高価格でありながら買ってもらえる商品にできます。

 

より高く売るためのたった1つの価格戦略 まとめ

価格の決め方には、作るため売るためにかかる費用から決める方法と、すでに売られている商品の相場を元に決める方法があります。

どちらの決め方もメリットデメリットがありますが、より高く売るためには相場を元にした値付けではなく、商品の価値を高めるためにかかったコストを元にした価格戦略が大事です。

まず他の商品とは違う価値を提供できなければ、価格で選ばれてしまうからです。

価値を高めるために原価をかけて品質を高めたり、販売管理費をかけてより良いサービスを提供したりする必要があります。

その結果、相場よりも販売価格が高い商品になると思いますが、その高い商品を売るために「ポジショニング」を活用します

同じジャンルの商品だと思われれば、相場が基準となり高いと判断されてしまいます。

なので、別の高価格帯の商品と同じ仲間だと思ってもらえるようなポジションを取るようにします。

同じ価値を提供している別の商品の近くで売ることや、その商品との比較を促すようなアプローチによって、より高い商品としてのポジションを築くことができます。

それによって、安いと感じる人を増やせるので、たくさんの人に買ってもらえる良い商品になります。

是非あなたの商品が取れるより高価格帯のポジションを見つけてみてください!

売れる価格はポジショニングで決まります!

  • この記事を書いた人
はむ師匠

はむ師匠

マーケティングの力でハッピーになれる人を増やすために、マーケティングの知識を発信しているマーケティン熊。 「マーケティングを使える人が増えれば、今よりも世の中は良くなる!」と信じて、大企業からスタートアップ企業まで、今まで100社以上のマーケターにマーケティングの使い方を指導してきている。

-設計
-, ,

© 2024 マーケティング道場|初心者→プロへの道