マーケティングは、見込み客を顧客へと導く道を作る活動です。
その道づくりのためには、いろんな施策を駆使する必要があります。
常に複数のことを動かさなければいけないので、私たちマーケターはいつもてんてこまいです。
自分自身がボトルネックになってしまっていることもよくあります。
今回は、マーケターの生産性をアップさせるスケジュールの活用法についてお伝えします。
仕事ができる人は必ずと言っていいほどこの方法を取り入れているので、もしいつもパツパツで悩んでいる人は参考にして実践してみてください!
目次
パツパツになる原因
パツパツになる原因は、予定通りに仕事を進められていないからです。
自らパツパツになる予定を組む人はいませんよね(笑)
ミスへの対応や新しい依頼など、想定外の仕事が舞い込んでくることで、抱えきれないものがでてきてパツパツになります。
マーケティングはいろんな仕事の組み合わせです。なので、事業規模が大きくなるにつれて、たくさんの人と仕事をすることになります。
関わる人が増えれば増えるほど、想定外の事態が起こります。
でも、それを避けることはできません。
パツパツな状況をある1つの変化によって改善した事例があるので紹介します。
パツパツを回避する方法
パツパツな状況を回避して、生産性を高めたとある病院の話です。
その病院ではいつも手術室が満室で、医師たちは常に患者の対応に追われて、みんな疲弊していました。
32の手術室で年間3万件の外科手術が行われていて、急患がでると夜中から手術するような状況です。
改善するには医師の数を増やす、手術室を増やすというリソースの確保が必要です。
でも、どちらもできない状況でこの病院が取った選択は、「常に1つ手術室を空けておく」というものでした。
普通に考えれば、既に足りてないものをあえて使わない状況にするというのは、馬鹿げた選択のように思えます。
でもこの病院はこの選択をした結果、病院が受け入れられる手術は5.1%増え、午後3時以降に行われる手術の件数は45%も減少し、そして収入も増えました。
手術室を常に1つ空けておくようにする前と後を比較してみましょう。
Before
- 常に手術室はパンパン
- 緊急の患者が来たら他の手術の予定を変更して対応
- 玉突きで手術は後ろ倒しになり深夜にまで及ぶ
- 医師が疲弊する
- 疲弊によって集中力は落ち手術が長引く
- 手術が長引くことで順番待ちの手術が行列する
- 終わらない手術の列に対応し続けて医師が疲弊
- 疲弊によりミスが起こる
- ミスへの対処により他の手術が遅延
- さらに手術の渋滞が起こりパツパツがmaxを超える
After
- 手術室を1つ空けておく
- 緊急の患者が来たら空けておいた手術室で対応
- 他の手術に影響することなく想定外の事態に対応できる
- 余白を持てたことで落ち着いて対応できる
- 落ち着いて対応できることで予定通りに手術は終了
- 手術が長時間に渡ることが減る
- 手術が深夜に及ぶことがなくなり睡眠が取れるようになる
- 良いコンディションで手術ができミスが減る
- ミスが減ることで予定通りの進行ができる
- パツパツになることなく精神的にも不安がなくなる
手術室を1つ空けておくだけで、手術の玉突きや調整をしなくてよくなり、無駄な動きや配慮がなくなりました。
無駄の積み重ねによって生まれていた疲弊や不安がなくなったことで、高いパフォーマンスを発揮できる環境が作られ、生産性がアップしています。
1つの違いが大きな違いへと繋がっています。
想定外を想定できているかどうかで、大きく変わります。
なので、想定外の状況はあるものだという前提で計画を作ってことが大事になります。
パツパツは次のパツパツの原因となります。
パツパツになる→労働時間が増える→パフォーマンスが落ちる→仕事の質が落ちる→ミスが生まれる→ミスへの対処が必要になる→仕事が増える→パツパツになる…
なので、最初のパツパツを生み出さないようにしなければいけません。
そのためには、余白を持たせたスケジューリングが大事です。
効果的なスケジューリングの方法
スケジューリングをすることで、最初のパツパツを生み出さないようにできます。
あなたはどんなスケジュールの立て方をしていますか?
「今月はこれをしよう」「今週はこれをしよう」「今日はこれをしよう」とやることを決めていたり、今やることとしてTODOリストを作って1つずつ取り掛かっていったりしているかもしれません。
人それぞれ慣れたやり方があると思いますが、全ての人が慣れているはずのスケジューリングの方法があります。
それが「時間割」です。
義務教育は時間割をもとに勉強していくので、必ずみんなやっていたスケジューリングです。
この方法によって、集中力のない子供が勉強できるようになります。
時間割のポイントは、毎日1時間ごとにやることが決まっていて、その時間はそれ以外のことをしないということです。
国語の時間は国語の勉強しかしませんよね。その決まりがあるから、確実にやることができます。
国語の教科書を読んだ後に、算数の計算をさせられていては、頭に入りませんよね。
でも、仕事ではそんなやり方をしている人はたくさんいます。
例えば
- 資料作成をしながら、届いたメールをチェックする
- 情報収集をしているところに、同僚から話しかけられる
- 企画を考えているところに、SNSの通知がきてスマホを見る
など。
何かをやっているときに、他のことをやってしまってませんか?
これはまさに、国語の教科書を読んでいる最中に計算問題を解かされているような状況です。
人間の集中力は、一度途切れるとまた集中状態に入るまでに20分かかるという話もあります。
何かをやっているようでなかなか進まないのは、集中力をぶつ切りにしてしまっているからです。
もしあなたがやることが多すぎていつもパツパツだとしたら、時間割を作ってください。
どうやって作れば良いのかについてお伝えします。
生産性を高めるスケジュールの作り方
まずカレンダーアプリをGETしてください。
Googleカレンダーでも、サイボウズなどでもなんでも構いません。
以下のルールでスケジューリングします。
スケジューリングのルール
- 予定は全て30分~60分の単位で設定する
- 60分以上かかる予定は細かな作業に分解する
- 準備や食事や移動なども予定化して設定する
- 仕事時間の1割を余白として空けておく
- 午前中と午後とで仕事を分ける
- TODOリスト化する
- 予定の質によって色分けする
それぞれ解説します。
スケジューリングのルール① 予定は全て30分~60分の単位で設定する
1つの予定の時間を細切れに設定することで、仕事が作業に分解できます。
単純作業は30分、頭を使う作業は60分にするのがおすすめです。
例えば、メールのチェックと返信は30分あれば十分ですよね。
1つ1つの仕事を細切れにすることで、やることが明確になるので、すぐに仕事に取り掛かれるようになります。
そもそも集中力はそんなに長く続きません。
スケジューリングのルール② 60分以上かかる予定は細かな作業に分解する
30分や60分で終わらない仕事もあると思います。
その場合、いくつもの仕事がそこに含まれてしまっているので、最大でも60分で片付けられる内容に分解してください。
例えば
資料作成を60分で終わらせるのは難しいと感じるかもしれませんが、資料作成というタスクは「何を書くかを決める」「ページ構成を決める」「書く」「足りない情報を集める」など、分解できます。
「資料作成をする」という大雑把な予定を立てていると、「何をしようかな〜」と考えたり、「あれ、あの資料どこだっけ?」と探したりする時間の積み重ねで、無駄な時間がどんどん増えてしまっています。
その無駄なチリツモをなくすために、タスクの分解が効果的です。
タスクを分解するとき、必要な情報ややるべきことがわかるようになるので、後からやり直すようなことも減らせます。
スケジューリングのルール③ 準備や食事や移動なども予定化して設定する
1日の動きを客観的に見ることで、無駄が見えてきます。
仕事の時間以外の時間の使い方も見直すことで、より生産的なスケジュールにすることができます。
スケジューリングのルール④ 仕事時間の1割を余白として空けておく
仕事時間が8時間なら、だいたい1時間程度は何も予定を入れないスケジュールにしてください。
予定通りに行かないタスクや急な依頼を、この余白で対応するようにします。
そうすることで、パツパツな状況を回避できます。
もし緊急なタスクがなければ、インプットをするとか、クオリティチェックをするとか、より高めるための時間に使います。
スケジューリングのルール⑤ 午前中と午後とで仕事を分ける
仕事には大きく性質の違う2つの仕事があります。
頭を使うものと体を使うものです。
企画を考えたり、提案書を作ったり、アウトプットする仕事は頭を使う仕事です。
メールをチェックしたり、打ち合わせをしたり、情報収集などはどちらかというと体を使う仕事です。
人の脳は判断するごとに疲れていきます。疲れれば疲れるほど、クリアな考え方ができなくなります。
なので、1人でじっくりと考える時間を午前中に持ってきて、脳が元気なうちにアウトプットをしておくのがおすすめです。
打ち合わせで頭を使うよりは、打ち合わせの準備に頭を使うのが正しいと言えます。
何も考えなしで打ち合わせに参加すると、議論が進まず、時間だけが無駄にすぎ、結局何も決まらない打ち合わせになりがちです。
なので、打ち合わせの準備は午前中にして、打ち合わせは午後にするのがおすすめです。
スケジューリングのルール⑥ TODOリスト化する
TODOリストを使ってタスク管理している人もいると思いますが、TODOリストは時系列や優先順位の要素が含まれないので、プロジェクトを動かす場合は少し物足りない管理方法となります。
スケジュールを30分~60分単位で設定すれば、1つ1つのタスクに時系列の要素を組み込めます。
どの仕事をどの順番でやるべきか、いつまでに完了すべきかが、スケジュール表ですぐにわかります。
1日のTODOが1日のスケジュールに落とし込まれているような状態にします。
そうすればスケジュール表を見るだけで、TODO管理ができるようになります。
スケジューリングのルール⑦ 予定の質によって色分けする
プライベートと仕事の予定を色分けしておくと、自分の生活の状態がわかりやすくなるのでおすすめです。
複数のプロジェクトに参加している人であれば、プロジェクトごとに色分けしておくと管理しやすくなります。
もし仕事の予定が多くプライベートの予定が少ないようなら、その配分を変えるなどよりパフォーマンスを発揮しやすい予定に組み替えてください。
脱パツパツ!マーケターの生産性をupさせるスケジューリングスキル まとめ
スケジュール表をTODOリストとして使えるくらい、細かく設定することが生産性アップの鍵です。
スケジューリングのルール
- 予定は全て30分~60分の単位で設定する
- 60分以上かかる予定は細かな作業に分解する
- 準備や食事や移動なども予定化して設定する
- 仕事時間の1割を余白として空けておく
- 午前中と午後とで仕事を分ける
- TODOリスト化する
- 予定の質によって色分けする
パツパツになるのは、予定に余白を持てていないからです。
なので、常に1割の何も予定しない時間を予定に入れておいてください。
想定外のことは起こる前提で仕事に取り組んでいれば、いつも冷静に余裕を持った仕事ができるようになります。
パツパツな人はパツパツなので、目の前の仕事を片付けることに一生懸命になりがちです。
スケジュールを管理する時間すら作ろうとしないため、余計にパツパツなことになってしまっています。
1ヶ月の最初に1時間、1週間の最初に30分、1日のはじめに10分、スケジュールを確認して調整する時間を作るだけで、生産性は必ず改善します。
それだけで、全てが良い方向へと向かっていくので、ぜひ「時間割」を作ってください。