マーケティングは『売れる仕組みづくり』です。
売れる仕組みをつくるためには、以下の3つを揃えることになります。
- 課題を抱えた人
- 課題を解決する商品
- 商品が買える場所への導線
何でもそうですが、1つ目が肝心です。1が無ければ2は成立しません。
マーケティングは、これから商品を買ってくれる「課題を抱えた人」がどんな人なのかを具体的に決めることから始まります。
この顧客になってもらう「解決したい課題を抱えた人」をターゲットと言います。
この記事では、ターゲット考え方についてお伝えします。
目次
人が商品を買う理由
人は課題解決の手段として商品を買います。
例えば
痩せたい人は、痩せる手段としてダイエット食を買います。
英語を話せるようになりたい人は、語学力を上げる手段として英会話スクールに通います。
人の注目を集めたい人は、目立つための手段として派手な服を買います。
人は商品そのものが欲しいのではなく、商品によって手に入るプラスの結果を求めています。
なので、どんな課題を抱えた人で、なぜその課題を解決したいのか、どういう方法で解決したいのかなど、その人が商品を買う理由をわからなければ、あなたの商品を売ることはできません。
マーケティングがターゲットを決めることから始まるのはそのためです。
ターゲットとは何なのか?
ターゲットとは「的」のことです。的とは、狙いを定める対象です。
マーケティングにおける狙いを定める対象は「商品を買ってもらう相手」になります。
弓でもダーツでも良いので的を思い浮かべてください。常に的は一つで、中心を狙うようにできていますよね。
マーケティングにおけるターゲットも同じで、常に1人です。そして、その人の中に狙うべき中心があります。
私たちマーケターが狙うべきターゲットは、「こういう人」という見た目でわかる対象ではなく、「悩み」や「問題」や「何を大事にしているか」など心の内にある対象です。
これらが人の買いたい気持ちを生み出すきっかけだからです。
ターゲットの間違い
ターゲットという言葉はマーケティングの現場でよく口にされます。
でも、それは間違った使い方をされがちです。
例えば
- 20代のOL
- 子持ち主婦
- 中高年の男性
などの外面的な特徴でその人を表す、「属性情報」を元に設定されていることが多いです。
これらではターゲットを表す情報としては不十分です。
なぜなら年齢や性別、職業や居住区、家族構成などで、人の求めているものを特定することはできないからです。
20代のOLにもいろんな人がいますよね。
太っていることに悩んでいる人、収入が少なくて悩んでいる人、会社の人間関係に悩んでいる人など。
自分の置かれている状況で、何かを手に入れたいと感じるわけではありません。
みんな個人的に満たしたい感情があり、それを解決するための方法として商品を買っています。
参考
年齢・性別・職業・居住地・家族構成・世帯年収・学歴・既婚未婚・子供ありなしなどの、外面的なプロフィールとなる情報をデモグラフィックスと言います。
マーケティングの現場において使われているターゲットを表す情報の多くは、このデモグラフィックスによるものです。
誤ったターゲットが広まっている理由①情報が不足していた時代の経験
誤ったターゲットの考え方が広まっている理由は、昔はそれが正解だったからです。
20代OLや高齢者男性といったデモグラフィックス情報を元にターゲットを決めていても、マーケティングとして効果がありました。
成熟していない市場では、多くの人が必要とするものが決まっていたからです。
例えば
- 中高生なら電子辞書
- 社会人ならスーツと時計と革靴
- 結婚する人なら豪華な結婚式
- 子供が生まれたらファミリータイプの車やマイホーム
など。
昔は選択肢も少なく、その情報を自分で集めることもできませんでした。
親や身近な人たちと同じように暮らしていれば、新しい発見に出会うことは少なかったと思います。
そのため、メディアを通じて企業が発信する情報の影響力が大きく、マスプロモーションが効果的に機能していたと言えます。
誤ったターゲットが広まっている理由②媒体で持っているユーザーデータの精度
インターネットが普及する前の世界では、媒体の利用者データを元に、プロモーションする媒体を選ぶしか方法がありませんでした。
そのため、媒体社がユーザー調査でヒアリングできる内容でしか、その媒体で接触できる相手を特定できなかったことも原因です。
例えば
- 男性が見るテレビ番組
- 女子高生が読む雑誌
- ビジネスパーソンが読む日経新聞
など。
世の中の人たちが求めている商品を安く作り、「広告をすれば、売れる」状況、つまり「広告=マーケティング」という考え方がありました。
その中で「広告する媒体を選ぶこと=ターゲットを選ぶこと」のように扱われてきたことで、「ターゲットの情報=デモグラフィックス情報」になってしまった理由の1つです。
今の時代に必要なターゲットの考え方
ですが今の時代は、インターネットを使って自分で情報を集めることができます。
必要なモノはすでに満たされているので、みんな生活に必要なモノではなく、自分の満足のためのモノを買っています。
例えば
- より良く見られたいから、お洒落な洋服を買う
- より健康的に生きたいから、ジムでトレーニングをする
- より美味しいものを食べたいから、高級レストランで食事をする
- 非日常を楽しみたいから、海外旅行する
- 自分に自信を持ちたいから、資格を取得する
- もっと稼ぎたいから、ビジネススクールでスキルを磨く
など。
そんな時代に、年代や性別といった外面的特徴が同じだからといって、同じように商品を買ってもらおうとしていてはうまくいきません。
男性も女性も関係なく、10代も50代も関係なく、これらの欲求を持っています。何をより求めるかは人それぞれです。
境遇だったり、環境だったり、価値観だったり、求めるものを決める要因はいろいろありますが、1人として全く同じ人は居ません。
例えば
- 高級品が好きな人
- 安いものが好きな人
- みんなが持っている物を使いたい人
- 人と違う物を使いたい人
- 派手なデザインが好きな人
- 無難なデザインが好きな人
など、物事を選ぶ判断基準も人それぞれです。
年代や性別や職業などの属性だけで一括りにしても、その人の求めていることを明らかにはできません。
同じ20代のOLでも商品を選ぶ基準は人それぞれだからです。人は個人的な価値観によって、どの商品を選ぶかを決めます。
なので、あなたの商品が解決できる課題を持った1人の人を選んで、顧客になってもらうためのコミュニケーションをとる必要があります。
ポイント
趣味、趣向、価値観、心理状況など、内面的なプロフィールとなる情報をサイコグラフィックスと言います。
マーケティングにおいてより注目すべきは、人の好みや判断基準に関わるサイコグラフィックス情報です。
マーケティングで必ず知っておくべきターゲットの話 まとめ
ターゲットとは「世の中にいるこんな人」という曖昧なものではなく、あなたの商品で「課題を解決すべきこの人」という具体的な人物でなければいけません。
どんな生活をしていて、どんな悩みを抱えていて、なぜその悩みを解消したいのかがわかっていなければ、どう売れば良いかがわからないからです。
私たちマーケターが狙うべきターゲットは、「こういう特徴の人」「こういうライフステージの人」という外からわかる対象物ではなく、「この人のこの課題」や「この人のこの価値観」など心の内にある対象物です。
必要なモノがすでに満たされている現代において、人は生活に必要なモノではなく、自分の満足のためのモノを買っています。
ターゲットを理解するためには、年齢や性別などの属性的なプロフィールだけでは不十分です。
解決したい課題や価値観などの内面的な特徴に目を向けて、ターゲットの買いたい気持ちのありかを知るようにしましょう!