web広告が登場する前と後では、広告のあり方が変わりました。
広告のあり方を変えた革命的な出来事が、「成果報酬型」の課金形式です。
今回、成果報酬型の広告「アフィリエイト広告」についてお話しします。
目次
web広告が登場する前の広告
web広告が登場する前の広告は、広告を出すことに対してお金がかかっていました。
TVも新聞も雑誌も、電車や駅のポスターも、駅前の看板も、ポスティングするチラシも、結果がどうあれ広告を出した時点でお金を払わなければいけません。
つまり、効果があろうか無かろうが広告費がかかっていたということです。
マーケティングの先駆者と呼ばれているアメリカの百貨店経営者ジョン・ワナメーカーはこう言っています。
「広告費の半分が金の無駄使いに終わっている事はわかっている。わからないのはどっちの半分が無駄なのかだ。」
多くの企業が広告をやめられないのは、これが理由です。
「やめてしまったら、売上が減ってしまうのではないか?」と感じるから、やらなくていいことをやめられずにいます。
例えば
TVCMを100回流した時、そもそもTVの前にどれくらいの人が居たのかはわかりません。
TVの前に居た人の内、どれくらいの人がTVから流れる広告映像を見ていたのかはわかりません。
TVから流れる広告映像を見ていた人の内、どれくらいの人がその広告に注目したのかはわかりません。
結果、どれくらいの人が広告の存在をきちんと認識できたのか、誰にもわからないということです。
全ての企業がそんな状態で広告をしてきましたが、web広告が登場してから広告に対する考え方が変わりました。
web広告が登場した後の広告
web広告が登場した直後は、従来の広告媒体と同じで、掲載に対してお金がかかる「掲載課金モデル」でした。
ですが、Googleによって「成果報酬型」の課金モデルが普及することになります。
Googleの広告は、広告がクリックされた時にだけ費用がかかる仕組みです。
これを「クリック課金型」と言うのですが、これは成果をクリックとした「成果報酬型」の課金モデルだと言えます。
今までは、広告を出すだけで、見られなくても、反応がなくてもお金を払わなければいけませんでした。
ですが、web広告がもたらした「クリック課金」というモデルによって、広告としての役割を果たせなかった広告にはお金がかからないという、とても理にかなった広告ができるようになりました。
ただ見せるのが広告ではなく、「注意を引き反応を得ることが広告の目的だ」と言う考え方が広がっていきます。
無駄な広告費がかかっているということはみんな気づいていたけど、これまではどの広告が無駄なのかを知る術がありませんでした。
web広告はクリック課金という形式によって、その無駄な広告費を無くすことに成功したと言えます。
これはマーケティングにもたらされた革命的な出来事です。
web広告が成果報酬型の仕組みを実現できる理由
ではなぜ、オフラインの広告ではできなかった成果報酬型の仕組みを、web広告では実現できているのかについてお話します。
これには「広告枠の量の違い」「計測の精度の違い」があります。
ちょっと難しい表現なので、噛み砕いて説明しますね。
広告枠の量の違い
価値の交換は、需要と供給のバランスで成り立っています。
例えば
あなたはリンゴを1つ売っています。
お腹を空かせた人が2人居た時、より多くのお金を払ってくれる人に売れば、売り手は儲かります。
お腹いっぱいの人が2人居た時、どれだけ安くしてもどちらも買ってくれません。
価格を下げることで、どちらかが買ってもらえる可能性はありますが、儲けは小さくなります。
原理原則
欲しい人がたくさんいる時、商品は売れるし、価格が高くても買ってもらえます。
欲しい人が少ない時、商品は売れないし、売れたとしても価格を安くしなければ買ってもらえません。
広告媒体も同じで、広告を出したい人がたくさんいる媒体は売れます。
そして、その価格は高くなります。
オフライン広告の広告枠について
TVや雑誌などオフラインの広告媒体は、広告を出せる枠に限りがあります。
番組の分数や雑誌のページ数などは決まってますよね。
そして、その枠の量以上にその媒体で広告をしたい企業がいるので、広告枠は売れます。
なのでオフラインの広告媒体では、掲載することに広告費がかかるやり方をしてきました。
TVCMの広告枠の話
TVの場合は「日本民間放送連盟放送基準」というもので定められていて、1週間の放送枠の18%以内と決められています。
1つの番組内で放映して良いCMの時間量も決められています。
例えば
- 30分番組ならCMは3分
- 60分番組ならCMは6分
30分番組なら、オープニングの後に1分、中盤に1分、エンディングの前に1分のCMがだいたい流れると思うので見てみてください。
web広告の広告枠について
web広告の場合は、ネット上の膨大な量のwebサイトが広告媒体となります。
広告掲載できるサイトは日々増殖していて、広告枠の数に上限が無いので、そもそも枠を埋めるということができません。
そして、1つ1つのサイトが自分たちの広告枠を、自分たちで販売することも不可能です。
そこで、Googleなどの配信プラットフォームがそれらのサイトの広告枠を管理して、そこに配信する仕組みを作りました。
買いたい人よりも売りたい人が多い時、売りたいものへの価値は下がるので、web上の広告枠の価値はほぼゼロに等しいと言えます。
webサイトを運営する媒体社も、そもそも広告を集められていない広告枠なので、掲載を無料にしてもはなんら問題がありません。
そこから成果が発生した時にお金がもらえるので、むしろ価値のないものに価値を付けてくれたような状況になります。
無価値のものに価値を生み出す仕組みが成り立つので、web広告では掲載課金ではなく、クリック課金を採用することができています。
計測の精度の違い
web広告の場合は、クリックされたかどうかをデータとして蓄積できます。
なので、「クリックしたらいくら」というやり方が可能になります。
オフライン広告の場合は、その広告を見て何か行動したのかどうかを調べる方法がありません。
特に
TVCMのような即行動を促すための広告ではない媒体の場合、広告を見た人の行動を調べられたとしても、「広告を見て何も行動しなかった」という結果がわかるだけになります。
web広告はクリックしたかどうかだけでなく、その後ランディングページやwebサイトで購入や申し込みをしたかどうかのデータも取得できます。
なので、どの広告から購入や申し込みなどのコンバージョンが発生したのかがわかります。
この仕組みがあるから、アフィリエイト広告と呼ばれる成果報酬型の広告が、仕組みとして成り立つのです。
アフィリエイト広告の仕組み
アフィリエイト広告とは「成果報酬型の広告」のことです。
一般的には、webメディアやブログメディアなどに掲載された広告がクリックされて、その後商品が購入されたら、メディアに対して広告費が支払うという広告です。
つまり、広告がクリックされて商品が購入されなければ、広告費を払う必要はないということです。
タダで広告できる素晴らしい仕組みです。
アフィリエイト広告には、メディアを運営する「アフィリエイター」と、アフィリエイターと広告主のマッチングと調整を行う「ASP」と呼ばれるプレイヤーがいます。
アフィリエイターの多くが個人で、ブログサイト中心に人が集まるメディアを運営しています。
組織的にメディアサイトを運営する企業などもアフィリエイターとして存在し、ASPを通して企業から広告を出してもらっています。
アフィリエイト広告の種類
アフィリエイト広告には大きく2つのタイプがあります。
「サイトアフィリエイト」と「アドアフィリエイト」です。
アドアフィリエイトとは、アフィリエイターが広告を運用して集客するタイプのアフィリエイト広告です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください⬇︎
この記事では一般的に知られているアフィリエイト広告「サイトアフィリエイト」についてお話しします。
サイトアフィリエイトは、webサイトやブログサイトに広告を貼り付けて、ランディングページへの流入を作るやり方です。
サイトへの流入は検索流入がメインです。なので、SEOアフィリエイトとも呼ばれています。
サイトのタイプでいくつか種類があります。
サイトアフィリエイトの種類
- ランキング&比較系
- レビュー口コミ系
- バナー貼り付け系
- 番外編:SNS誘導系
それぞれ解説していきます。
ランキング&比較系サイト
商品を比較して、その評価を掲載しているサイトです。
サイト運営元の独自調査の結果を使っていたり、ネットの調査結果を使っていたりします。
商品を比較検討している人が見にくるサイトなので、どんな商品があるのか、どんな商品が人気なのかを知りたい見込み客に対して、効果的に広告を出瀬ます。
ランキングサイトで紹介されていなければ、見込み客の検討に入りづらくなるので、広告を出したい企業が多くなります。
その結果、成果報酬単価は高めに設定されています。
レビュー&口コミ系サイト
実際に商品を利用して、その感想を個人コメントとして掲載するサイトです。
サイト運営者が体験してレビューする場合と、web上の口コミコメントを集めた形があります。
サイト自体が食べログのようにレビューを投稿できる形になっているサイトもあります。
商品の特徴や魅力を詳しく紹介してくれるので、ターゲットの興味関心を引くだけでなく、理解納得を手に入れることもできます。
商品のことを知って、より詳しく知りたいと思っている検討状態の見込み客に対して効果的に広告できます。
アフィリエイターとしてもページを作りやすく、コンバージョンに繋がりやすいので、多くのアフィリエイターが取り組んでいるサイト形式です。
バナー貼り付け系サイト
すでにある程度のサイト流入があるサイトで、単純な広告枠としてアフィリエイト広告を実施するパターンです。
商品の説明とかはなく、バナー広告を貼り付けてランディングページへの流入を作っています。
流入が増えるメリットはありますが、商品のレビューや比較があるわけではないので、そこまでコンバージョンへの貢献はしづらいやり方になります。
アフィリエイターとしてもあまり売れるやり方ではないので、サブ的な位置付けのアフィリエイト広告の手法です。
番外編:SNS誘導系
インスタグラムを利用してよくやられているアフィリエイト広告のやり方がこれです。
インスタグラムはフォロワーが1万人を超えるとストーリー配信に外部リンクURLを貼り付けられます。
それを導線として、ランディングページに流入を作って、成果報酬を得るというやり方が生まれています。
インスタグラムの広告には大きく2種類あります。
インスタグラムを媒体として広告を出す通常の方法と、インスタグラマーを媒体として広告を出す方法です。
後者はPR投稿として扱われていますが、実際には商品を紹介することに対してお金を支払っているので、広告とみなされます。
このインスタグラマーの投稿経由で生まれた流入から、商品が売れた場合に成果報酬を払うのがSNS誘導系のアフィリエイト広告です。
インスタグラムアカウントが、アフィリエイトサイト的な役割をしていると考えてください。
レビューサイトの代わりとして利用でき、レビューサイトの情報よりもよりインパクトのある施策です。
アフィリエイト広告のメリット・デメリット
アフィリエイト広告のメリット
アフィリエイト広告には大きく2つのメリットがあります。
アフィリエイト広告のメリット①
1つ目のメリットはなんと言っても、商品が売れたり、申し込みが入らなければ広告費がかからないということです!
広告自体は掲載されているので人の目には触れてますし、広告をクリックしたけど買わなかった人には、一定の広告効果があったとみなせます。
でも、1円もかかりません。
なので、広告予算は多くないけど、たくさん露出して認知度を高めたいと思っている企業は、アフィリエイト広告を活用すべきです。
成果報酬単価も広告主が決められるので、1件受注するのにかけられる金額で設定すれば、絶対に赤字にはなりません。
アフィリエイト広告のメリット②
そしてもう1つのメリットが、キャッシュフローが良くなるということです。
注文が入ったあとで広告費を払うので、顧客に支払ってもらったお金から、広告費を出すという流れを作れます。
費用の先出しをせずに集客できるので、積極的な投資をしていくことができます。
アフィリエイト広告のデメリット
でも、良いことばかりではありません。
アフィリエイト広告には3つのデメリットがあります。
アフィリエイト広告のデメリット1 ボリュームが出づらい
アフィリエイトサイトの多くが個人の運営しているブログメディアです。
なので、サイトにそもそも訪れる人が少なく、広告を見る人の数が増やせないデメリットがあります。
例えば
月に1000PVしか無いようなサイトもざらです。そういうサイトで広告を出していても、最大1000回しか表示されず、そのうちの1%が広告をクリックしたとしても10人しかランディングページやwebサイトには訪れないということになります。
流入の少ないメディアサイトが多いので、そもそもの広告露出回数が少なくなります。
なので
そういうサイトをたくさんかき集めることで、出稿のボリュームを増やしていくことになるのですが、アフィリエイターがなかなか提携をしてくれないという問題があります。
アフィリエイターは商品が売れなければ広告費をもらえません。
なので、売れる商品を中心に取り扱います。
売れる商品とは「価格が安い商品」や「有名な企業が売っている商品」です。
もしあなたの売っている商品がそういう商品でなければ、ASPに案件情報を登録しても提携依頼をしてくれるアフィリエイターはあまりやってきません。
たくさんのアフィリエイトサイトで広告掲載をしてもらわなければ広告の意味が無いけど、たくさんのアフィリエイターに広告してもらうことが難しいという問題があります。
アフィリエイト広告のデメリット2 予算上限を決められない
アフィリエイト広告は成果が出たら広告費を払う後払いのモデルです。
どれだけ売れるかわからないので、どれくらい広告費がかかるかわかりません。
例えば
成果報酬単価が1万円で、100件売れたら100万円、1,000件売れたら1,000万円支払わなければいけません。
もし広告予算が決められている場合は、支払う広告費が読めないので扱いにくい広告になってしまいます。
本来は成果報酬単価として設定している費用で、注文が取れるならどんどん広告した方が良いのですが、企業によっていろいろ事情があり、アフィリエイト広告を活用しきれない場合もあります。
アフィリエイト広告のデメリット3 間違った情報が載る場合がある
これが昨今の1番の問題です。
ただ、提供した広告素材をサイトに貼り付けるだけであれば問題ないのですが、独自の見解やレビューを交えて情報を掲載される場合、企業が提供している情報とずれた内容が掲載されてしまうことがあります。
特に化粧品やサプリメントなど、広告表現について法律が定められている商品の場合、間違った表現をされることで、メーカーがペナルティを与えられてしまいます。
アフィリエイターの中には、「売れればなんでもやっていい」というスタンスの人たちも多く、法律を無視した表現で売れるだけ売ろうとする不届きものもいます。
そう言った無法地帯にならないように、広告主が厳しくチェックする体制を作らなければいけなくなっています。
アフィリエイト広告の活用法
アフィリエイト広告の流れ
アフィリエイト広告は、アフィリエイターと広告主を仲介するASP事業者とやりとりをします。
流れはこんな感じです。
アフィリエイト広告実施の流れ
- ASPに広告主登録をする
- ASPに広告したい商品の情報と成果報酬額など取引情報を登録する
- ASPにバナーやテキストなどの広告素材を渡す
- ASPが案件情報をアフィリエイターに公開する
- 募集中の案件にアフィリエイターから提携依頼が入る
- 提携依頼サイトを確認し、広告の掲載を承諾する
- アフィリエイターが運営するメディアに広告を掲載
- アフィリエイトサイト経由で発生した注文の承認作業をする
- 発生した成果数×成果報酬単価分の費用を支払う
アフィリエイト広告の活用法
アフィリエイト広告にはメリット・デメリットありますが、正しく活用すればメリットの方が大きい広告手法です。
ボリュームが出づらいデメリットに対しては、「成果報酬単価を引き上げる」「アフィリエイター毎に特別な成果報酬単価の設定を設ける」など、アフィリエイターがあなたの商品の広告を掲載したくなるような取引の条件を出すようにします。
なので
「このサイトに出ていることが自社の商品に対して大きなプラスになる」と思えるサイトには、採算度外視して成果報酬単価を設定してください。
例えば
- 商品の比較キーワードで1位表示のランキングサイト
- 多くの人が参考にする大型の口コミサイト
- 商品レビューを細かくしてくれる個人ブログ
など。
こう言ったメディアサイトで商品が紹介されていると、ターゲットに良い印象を与えることができます。なので場合によっては、固定費を支払ってでも掲載することをおすすめします。
そもそも掲載するだけでお金がかかるのが広告媒体です。
web広告の場合、成果が出て初めてお金がかかるというモデルに慣れすぎているため、広告を出すこと自体に広告費を支払うことをためらうマーケターは多いです。
でも、そこに広告が出ていること自体に価値がある媒体であれば、お金を払ってでも広告を出してもらう意味があります。
実際にこういうメディアサイトで広告を出してもらうことで、検索広告の反応が高まります。
結果的に、全体のコスパが良くなるので、それも加味した上で有力なアフィリエイトサイトへの報酬単価を決めれば、多くの提携先が見つかりアフィリエイト広告のデメリットを解消できます。
web集客の基本のキホン|アフィリエイト広告を活用しよう まとめ
アフィリエイト広告は、web広告が生み出した成果報酬型の課金モデルの広告です。
web広告が成果報酬型の広告をできる理由は、広告枠が無限にあり、広告枠自体の価値がほぼゼロになっているからです。
そもそも販売できない広告枠に、クリックされたら広告費が発生するという価値創造をしたのが、Google広告を始めとするweb広告です。
広告がクリックされたかどうか、その後購入や申込が発生したかどうかを計測できるwebの技術があったから、成果が出たら広告費を支払うという成果報酬型の課金の仕組みが成り立っています。
アフィリエイト広告は、購入や申込が発生した時だけ広告費を支払えば良いという夢のような広告です。
アフィリエイターと呼ばれるメディア運営者と、アフィエイリタート広告主をマッチングするASP事業者によって運営されています。
アフィリエイト広告を運用するメリットは、購入や申込などのコンバージョンが発生した時だけ広告費を支払えば良いので「コスパが良い」という点です。
そして、売上が上がってから広告費を支払うことになるので、「キャッシュフローが良くなる」というメリットもあります。
ですが、稼げない商品だと思われれば提携してくれるアフィリエイターが集まらず、全然広告が出せないという状況も良く起こります。
売れたら売れただけ広告費を支払うことになるので、予算のコントロールが効かないというデメリットもあります。
また、アフィリエイターの判断で広告表現を変えられる場合もあり、厳しく表現のチェックをしなければいけないことも、最近の問題となっています。
ですが、無料で広告できる仕組みを活用しない手はないので、アフィリエイターが提携したいと思える条件を出して、他の商品ではなくあなたの商品を積極的に紹介してもらえるような働きかけをすることで、アフィリエイト広告を最大活用することができます。
そのために、間に立つASP事業者の担当者にたくさん働いてもらってください。