ビジネスは投資回収です。
お金や労働力や時間を使って商品を作ったり、商品を売ったりして、対価として代金を受け取る活動です。
利益を手に入れるためには集客が必要です。
そのため、集客活動が事業活動のメインになります。
ですが、「何にいくら使えば良いのかがわからない」というマーケターは多いです。
集客施策を選ぶ時や、結果を評価する時の基準となる指標があります。それが「CPO」です。
今回は、CPOを知るために必要な知識をお伝えします。
CPOとは
CPOとは、Cost Per Orderの略で、「注文あたりの集客コスト」の意味です。
一般的には、注文=顧客獲得、コスト=広告費として考えて、「顧客獲得あたりの広告費」として扱われます。
例えば
広告費100万円使って、100人集客できたとしたら、CPOは1万円ということになります。
広告費100万円使って、1人しか集客できなかったとしたら、CPOは100万円になります。
CPOとCPAの違い
CPOと似たような指標で、CPAというものもあります。
CPAとは、Cost Per Acquisitionの略で、「獲得あたりの集客コスト」の意味です。
CPOとどう違うの?と思いますよね。
この違いを理解するために、まずコンバージョンについてお話しします。
コンバージョンとは
コンバージョンとは、注文や申込など見込み客の状態が変わることを言います。
言葉の意味は、変換・転換などです。
集客で目指す最終地点への到達をコンバージョンと呼びます。
例えば
- 化粧品を売っているなら、商品の購入
- 英会話スクールを開いているなら、スクールへの入会
- webシステムを提供しているなら、システムの利用申込
など。
成果地点=コンバージョンポイントだと覚えておいてください。
CPOとCPAどちらも、1つのコンバージョン獲得にかかった集客コストという意味ですが、何を成果と見なすかでコンバージョンの意味が変わります。
CPOは注文あたりの集客コストなので、顧客からお金を支払ってもらうタイミングがコンバージョンです。
CPAは獲得あたりの集客コストなので、獲得=注文の場合はCPOと同じものを表しますが、顧客がお金を支払わない獲得が存在します。
例えば
- 化粧品の無料サンプル申込
- 英会話スクールの資料請求申込
- webシステムへの問い合わせ
など。
注文ではないけど、見込み度の高い人の獲得と言えるアクションが会った時、これもコンバージョン(成果地点)だと考えられます。
なので、これらのコンバージョンを獲得するためにかかった集客コストを表す場合は、CPAを使った方がより適切になります。
ですが、実際には単純にコンバージョン単価(獲得単価)としてCPAが使われていることの方が多いです。
そもそもCPOという言葉を知らなかったり、CPOとCPAを好みで使い分けていると思われていたりします。
ただ単に、広告運用をしてコンバージョンを獲得するだけの仕事をしていれば、CPOとCPAを分けて理解する必要はありません。
どちらも「成果地点に到達してもらうためにかかったコスト」という意味で違いはないので。
ただし、もしあなたが事業を成長させるマーケティング使いになりたいと思っているなら、CPOとCPAは分けて使うようにしてください。
その理由について、これからお話しします。
集客に失敗してしまう理由
企業の抱える悩みNo.1は、集客がうまくいかないことです。
たくさんのお客さんを集める方法があります。それは、たくさん広告することです。
なぜなら
多くの人に知ってもらえなければ、多くの人に興味を持ってもらうことはできません。
多くの人に興味を持ってもらえなければ、多くの人に欲しいと思ってもらえません。
多くの人に欲しいと思ってもらえなければ、多くの人に買ってもらうことはできません。
単純な話です。
ではなぜ、たくさん広告ができないかと言うと、広告するためのお金が無いからです。
これも単純な話ですよね。
もちろん無限に広告費を使える企業は存在しません。
ですが、使って良いお金を使えていない企業がたくさんいます。
ここで問題
箱に入れた金額の1.2倍の額が出てくる箱があるとします。
1万円を入れたら、2千円増えて1万2千円になって出てくるということです。
手元に5万円あるとしたら、あなたならいくらその箱に入れますか?
シンプルな答えは「5万円を入れる」です。
それが1番多くのリターンを得られるからです。
もっと多くのリターンを手に入れようとすると、お金を借りてきて入れられるだけ入れるというのも有りです。
ですが多くの企業はこの時、1回に使えるお金を1万円に設定してしまっているため、1万円しか箱に入れていなかったりします。
もっと使えばもっとリターンが得られるのに、使って良いお金の上限を低く設定してしまっているため、機会損失をしています。
そして、この上限設定の1万円に根拠はありません。
例えば
商品価格 5,000円
費用 2,000円(広告費以外)
利益を20%確保することを考えれば、この商品1つ売るのに使える広告費は、2,000円ということになります。
商品価格5,000円ー広告費以外費用2,000円ー1,000円(5,000円×20%)=2,000円
なので普通に考えれば、CPO2,000円と設定して集客すると思います。
月に100件の新規受注をしようとする時、使える広告費は20万円になります。
1件あたりの広告費2,000円×100件=200,000円
20万円で100件の受注を取ることになり、施策の幅が狭まります。
なので、やれることが少なくなり、集客力が上がらず、売上が上がらない、という負のスパイラルに陥ってしまっています。
この状況を打破するための考え方があります。
それが「限界CPO」という考え方です。この考え方を持てているかどうかで、集客力が大きく変わります。
「限界CPO」についてお話しします。
施策の評価基準「限界CPO」とは
限界CPOとは、1人の顧客獲得にこれ以上の広告費がかかると採算が取れなくなる、という限界ラインを表します。
上限CPOと言われたりもします。
限界CPO以上の費用をかけて集客すればするほど、マイナスが増えていくということです。
CPOとどう違うの?と思いますよね。
捉え方次第ではまとめてCPOと表現しても良いのですが、一般的に知られているCPOとの違いを説明するために、あえて限界CPOという別の言葉を使うようにしています。
限界CPOは商品単体の売上で考えるのではなく、顧客のLTVを元にした考え方になるからです。
計算方法を知っていただければ、どういう考え方かがわかると思うので紹介します。
LTV…ライフタイムバリューの略で、顧客生涯価値という意味。ある期間の1人の顧客の総売上を平均LTVとして扱います。
LTVについての詳しい解説は、こちらの記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください⬇︎
限界CPOの計算方法
限界CPOはLTVをベースにして計算します。
例えば
以下のような商品を売ることを考えます。
商品価格 5,000円
広告費以外費用 2,000円
広告費 2,000円
利益 1,000円
この時の顧客獲得に使える広告費は2,000円となります。
つまり、CPO2,000円です。
1つ売るのに2,000円以上の広告費がかかると利益が減ってしまいます。
ですが、この商品が年に5回買ってもらえる商品だった場合、2回目以降の販売には広告費がかからないので、2回目以降の商品価格に含まれている広告費分2,000円は丸々利益になります。
ここで、この2,000円をそのまま利益として考えるのではなく、年に5回買ってもらえる顧客を獲得するための広告費に回します。
そうすると、1人の顧客獲得に使える広告費は1万円になります。
1つの商品に含まれる広告費として使う想定の費用2,000円×5回分=10,000円
商品1個販売するために使おうとしていた2,000円の広告費を、将来的に買ってもらえる商品から拝借して、先に使うという発想です。
将来買ってもらえる商品から、そこに含まれる広告費分を前借りするようなイメージですね。
そうすれば、1人の顧客獲得に使えるお金が2,000円から10,000円になり、100件の注文獲得をする時に使えるお金が20万円から100万円になります。
20万円でできることと、100万円でできることの大きさの違いは誰が見ても明らかですよね。
より多くの広告に投資できるようになり、より多くの顧客獲得のチャンスを手に入れることができるようになります。
この時の「1人の顧客獲得に使える広告費1万円」を限界CPOとして扱います。
CPOとは?マーケティング使いの必須知識 まとめ
CPOとは、顧客獲得単価のことです。
1人の顧客の注文を獲得するためにかかった広告費を表します。
多くの企業が、適切なCPOの目標設定ができていないために、集客の機会損失を起こしてしまっています。
CPOを活用するためには「限界CPO」という考え方を知る必要があります。
限界CPOとは、これ以上広告費をかけるとマイナスになってしまうボーダーラインのことです。
LTVを元に計算することができ、1人の顧客が将来的に買ってくれる商品に含まれる想定の広告費分を、初回の購入を促すための広告費に持ってくるという発想で計算をします。
それにより、商品価格よりも高い金額の広告投資をすることができ、集客機会の最大化につながります。
よりたくさんの広告投資ができるかどうかが、よりたくさんの顧客獲得ができるかどうかを決めます。
なので、限界CPOを定めて、集客力の最大値を把握するようにしてください。
そうすれば、今よりもやれることがたくさんあると分かるようになります。