マーケターは戦略家でもあり、戦術家でもあり、兵士でもあります。
ですが、戦略家として機能していなければ、戦術も作戦もうまくいかないので、「戦略脳」を鍛えたいと思っているマーケターは多いです。
今回は、戦略脳を鍛えるために必要な「ロジカルシンキング」という考え方についてお伝えします。
仕事だけでなく、生活の生産性も高めることができる思考法なので、是非マスターしてください!
目次
ロジカルシンキングとは
ロジカルシンキングとは、物事を整理して、筋道を立てて、矛盾なく考える思考法です。
ロジカルシンキングの日本語の訳は「論理的に考える」ということになります。

論理というのは筋道が立っていることの意味なので、要は「誰が見ても納得する形に情報を整理する考え方」と覚えておいてください。
話が伝わらない人や提案が採用されない人は、その人だけが納得する理由になってしまっています。
自分が思っていることではなく誰もがそう思うように、事実を元に物事を考えることが大切です。
論には「つなぐ」という意味があり、理には「分ける」という意味があります。
なので、一見すると違うもののように見えるものの共通点を見つけたり、一見すると同じもののように見えるものの違う点を見つけたりすることが、論理には必要だと言えます。
ロジカルシンキングのメリット
ロジカルシンキングができれば、マーケターとしてのレベルがグンと高まります。
なぜなら、目標達成しやすくなるからです。
目標達成するためには
- 適切な目標の設定
- 適切な現状の把握
- 適切な課題の設定
- 適切な解決策の実行
- 適切な評価
が必要です。
人によっては、それを提案して採用してもらうというプロセスも必要になります。
ロジカルシンキングができていなければ、筋の通っていない目標と実行になり、見当違いな評価に基づいた改善を繰り返してしまいます。
そもそも提案も通せません。
ロジカルシンキングができることで、目標達成のために必要なアクションが取れるようになります。
クライアントや上司に対して提案を行う時も、提案が通りやすくなります。
ロジカルシンキングで作られた提案は、誰が見ても筋が通っているので、評価者に対して具体的に成功イメージをつけやすいからです。
事実をもとに整理され、目標達成のためのプランとして筋が通っているので、非の打ち所がない提案にすることができます。
ここから具体的なロジカルシンキングのやり方についてお伝えするので、是非覚えて実践してください。
ロジカルシンキングのやり方
ロジカルシンキングと言われると、なんだか難しそうな印象を受けるかもしれませんが、安心してください。
やることは「分けて、深ぼる」だけです。
物事をいろんな切り口で分けて小さな塊にして、その共通点や相違点をつなげて、1つの答えを導き出すことがロジカルシンキングでやることです。
ロジカルシンキングのやり方① 分ける
まずは物事をいろんな切り口で小さな塊に分けます。
ポイントは「MECE(ミーシー)」であることです。
これは「モレなく、ダブりなく」という意味です。
用語は覚えなくても良いので、「モレなくダブりなく、網羅的に分ける」ということを覚えておいてください。
例えば
スキンケアアイテムをモレなくダブりなく分けると、
- 洗顔フォーム
- クレンジング
- 化粧水
- 美容液
- 乳液
- パック
などになります。(実際にはもっと細かく分類できますが、キリがないので大雑把に分けています)
これはアイテムのカテゴリとしての分け方です。
他にも、テクスチャでの分け方などもできます。
- ミスト状
- 液状
- クリーム状
- ゲル状
- 固形
など。
さらに、顧客の属性での分け方もできます。
- 30代向け、40代向け、50代向け
- 乾燥ケアしたい人向け
- シミケアしたい人向け
- しわケアしたい人向け
- 時短したい人向け
- 自然派な人向け
など。
物事をわかりやすくするために、いろんな切り口で網羅的に分けるのが、ロジカルシンキングのポイントです。
ロジカルシンキングのやり方② 深ぼる
深ぼるとは、「つまりは?(So What?)」と結論を探ったり、「なんで?(Why So?)」と原因を探ったりすることです。
例えば
「突然、彼女に振られた」という出来事の原因をロジカルシンキングしてみましょう。
●つまりは?(So What?)
- もうデートできない
- もう連絡もできない
- 誕生日もクリスマスも1人ぼっち
- 将来のパートナー候補がいなくなった
- また彼女探しをしなければいけない
などが出来事の結論として洗い出されます。
●なんで?(Why So?)
- マンネリ化してた
- 忙しくてあまり連絡をしてなかった
- 彼女からの連絡も適当に返していた
- 結婚の話を先延ばしにしていた
などが出来事の原因として考えられます。
では、同じ失敗をしないための対策を考えてみましょう。
原因を1つ1つ深ぼっていきます。
なぜ、マンネリ化するのか?
- いつでも会えるから
- 相手に慣れてくるから
- 同じことを繰り返すから
- 自分のことを好きだとわかっているから
などがマンネリ化する原因として考えられます。
こうならないための対策として考えられるのは、
- 会う頻度を減らす
- 定期的に特別な日を作る
- 常に好きでいてもらう努力をする
などが考えられます。


もう振られた相手に対しては手遅れなので、次に出会う彼女にはこの対策をとって、円満に過ごせるようにしましょう。
同じように他の原因に対しても、なぜその出来事が起きてしまったのか深ぼることで、より具体的な課題と対策が見えてきます。
すると、誰がみても「そうだよね。」と思ってもらえるような、答えの出し方ができるようになります。
これがロジカルシンキングのやり方です。
ロジカルシンキングの2つのアプローチ
ロジカルシンキングをする時に2つのアプローチがあります。
「帰納法(きのうほう)」と「演繹法(えんえきほう)」です。

帰納法は事実から結論を導き出す方法で、演繹法はすでにあるルールに基づいて結論を導き出す方法です。
用語は覚えなくても良いので、「目の前の出来事から始めるか」「確立された原理原則から始めるか」の2つのアプローチがあると覚えておいてください。
それぞれ解説します。
ロジカルシンキングのアプローチ① 帰納法
帰納法は、たくさんの事実から共通点や相違点を見つけて、結論を導くロジカルシンキングのアプローチです。
多くの事実を並べることで、客観的で具体的な本質にたどり着きやすくなります。
ただし、事実だと思って集めた情報に誤りがあると、間違った結論を導いてしまうことになります。
例えば
彼女へのプレゼントに何を買うかを考えてみましょう。
まずは事実情報を集めます。
- 27歳
- メーカーで企画職をしている
- 何年も同じバッグを使っている
などの情報をもとに、20代キャリアウーマンに人気の仕事用バッグをプレゼントしたとします。
集めた情報から導き出した結論としては正しいと思いますが、実際にはこのことが引き金となって別れることになったとします。
何が問題だったのかを考えてみましょう。
実際には彼女はこういう状況でした⬇︎
- 27歳→結婚を考えたいと思っている(ちょっと焦り出している)
- メーカーで企画職をしている→忙しくて仕事を辞めたいと思っている
- 何年も同じバッグを使っている→家庭に入りたいと思っているので新しいものを買う必要がないと思っている
そんな彼女に、「もっとバリバリ働いてね」と言わんばかりのプレゼントをしたことで、「この人は私のことを何もわかってくれていない」「結婚する気もないんだろう」と思われて、別れのトリガーになったという感じです。

帰納法は情報や状況証拠の集め方や、その情報の分析の仕方によって、導き出される答えが変わるので注意が必要です。
ここは場数を踏んで慣れるしかないところなので、身の回りのいろんな出来事から結論を導き出す訓練をしてみてください。
トレーニング
- 今日読んだ記事の共通点を見つけて、あなたが今興味を持っていることを結論づけてください
- 今日発言したことの共通点を見つけて、あなたが大事にしている考え方を結論づけてください
- うまくいった仕事の共通点を見つけて、あなたが発揮できる価値を結論づけてください。
ロジカルシンキングのアプローチ② 演繹法(えんえきほう)
演繹法は、すでに確立されている原理原則に当てはめて、結論を導き出すロジカルシンキングのアプローチです。
すでに存在するルールに当てはめる形なので、ロジカルシンキングに慣れていない人でもとりやすいアプローチです。
演繹法のために使われるのが「フレームワーク」と呼ばれる考え方の枠組みです。
いろんなケース毎に「こうすればうまく行く」というルールがあると思ってください。
正直、フレームワークは無数に存在するので、全部を覚える必要はありません。
その時々に必要なものを探せばいいので、気楽にしていて大丈夫です。
「●● フレームワーク」で検索すれば大概のものは出てくるので。
マーケティングの世界には多くの原理原則があります。
私たちマーケターはまず、過去のマーケターたちが確立したルールに基づいて結論を導きだすようにしましょう。
そして、自分なりにやった結果が出たら、その結果を並べて、そこから見出せる結論を出すことで、マーケティングを成功へと近づけていくようにしてください。
そうすれば結果が出やすく、結果が出なかった時も、どこに問題があったのかを見つけやすくなります。
元となるルールがあるので、それ通りにできなかかったところや、十分にできていないところを見つければ良いだけだからです。
ロジカルシンキングに使える便利ツール
ロジカルシンキングは「モレなくダブりなく分ける」という考え方です。
課題を見つけるために目の前の出来事を分解したり、目標を達成するために必要な要素を分解して見つけていく作業と言えます。
たくさんの情報を思考のテーブルに並べる必要があるので、頭の中だけでは処理できません。
ロジカルシンキングができない人、苦手だと感じている人は、頭の中だけで考えようとしがちです。


目で見える形にすることで、それぞれの関係や共通点、違う点が見えてきます。
そこで使えるのが「マインドマップツール」です。
マインドマップツールとはこういうやつです⬇︎(見え方の参考用)
1つの言葉から複数の言葉に繋がる枝が伸びた形で可視化できるツールです。
大きなカテゴリから小さなカテゴリへと分解していく時に階層で表現できていると、それぞれの要素の関係がわかりやすくなります。
これにより、たくさんの情報を並べても混乱しづらくなります。
これ自体をプレゼン資料にすることで、人にも伝わりやすくなるメリットがあります。
紙に書き出したものをマインドマップツールで整理しておくとベストです。
ロジカルシンキングとは|マーケターに必要な論理的思考法 まとめ
ロジカルシンキングは、答えのない答えを導き出すために欠かせないスキルです。
戦略を考えたり、状況から解決策を見出したりすることが求められるマーケターには必須のスキルだと言えます。
ロジカルシンキングとは、誰が見てもそうだと納得するような情報の整理の仕方をすることです。
難しく考えなくて大丈夫です。
「モレなくダブりなく、物事を分ける」これだけです。
ロジカルシンキングのアプローチには2つあります。
「帰納法(きのうほう)」と「演繹法(えんえきほう)」です。
「帰納法」は、事実や状況証拠をたくさん集めて、そこから共通点や相違点を見つけて、答えを導き出すアプローチです。
「演繹法」は、すでに確立された原理原則に基づいて、答えを導き出すアプローチです。
マーケティングには確立された原理原則があるので、私たちマーケターはまずそのルールをもとに目標達成の道筋を立てて、実行していきます。
そして結果を集めて、そこから見出せる答えを探します。
時代、顧客、商品、企業の信用、予算規模などによって、同じことをしても出せる結果は変わります。
なので、原理原則に基づいたアクションをとった結果、どういう反応があったのかを分析して、そこから自社なりの答えを導き出す力がマーケターには必要です。
ぜひ、ロジカルシンキングの訓練をして、考える時に自然と使えるスキルにしていってください。
このスキルがあれば、マーケターとしてのレベルが段違いで変わっていきます。