今回は価格設定で使える「おとり効果」についてお伝えします。
商品には顧客が選びやすい価格の設定があります。
もちろんどこよりも安く設定すれば、顧客が買い求めやすい価格になるんですけど、そうすると企業は収益が上がらなくなるので、多くの企業にはおすすめできないやり方です。
今売っている商品の売り方を変えるだけで、企業としては十分に利益を確保できて、かつ顧客がその価格設定がお買い得だと感じてくれる価格の決め方があります。
それが行動心理「おとり効果」を利用した方法です。
「おとり」というと、ネガティブに聞こえるかもしれませんが、その商品を選んでもらうことが顧客に得になるので、それを後押しするために使えるテクニックのようなものだと思っていただければと思います。
目次
おとり効果とは
おとり効果とは、周囲の情報によって、そのもの自体を評価してしまうというものです。
人は何かを判断する時に、それ自体の情報からそれを評価してるのではなく、その周囲の情報に影響を受けています。
普通は選ばないようなものでも、他のものよりもお得だと感じることで、その選択が賢いと判断をしてしまいます。
この「おとり効果」の力を証明した実験があるのでご紹介します。
「おとり効果」の実験
被験者にある雑誌の定期購読の広告を見てもらいました。
- web版 59ドル
- 印刷版とweb版のセット125ドル
結果
web版を選んだ人が68%、印刷版とweb版のセットを選んだ人が32%でした。
ところが「印刷版125ドル」の選択肢を加えると、
- web版 59ドル
- 印刷版 125ドル
- 印刷版とweb版のセット125ドル
結果
web版を選んだ人が16%、印刷版を選んだ人が0%、印刷版とweb版のセットを選んだ人が84%でした。
印刷版とweb版のセットを選んだ人が、32%から84%に跳ね上がっています。
印刷版が125ドルのところ、web版もセットになって125ドルなら、印刷版とweb版のセットが1番お得だと感じた人が多かったということです。
商品は変えてません、価格も変えてません。
一緒に提案する売り方を変えただけです。
これが「おとり効果」の力です。
おとり効果を利用した集客アップ術
おとり効果を集客に活用する方法についてお話しします。
それは、複数の商品を用意するか、1つの商品で複数の売り方をすることです。
売り方の違いで高価格帯、中価格帯、低価格帯を作ります。
売り方のパターン
- 量の多い少ない
- 質の高い低い
- 契約期間の長い短い
売り方のパターン① 量の多い少ない
マクドナルドのポテトは、量の多い少ないで複数の売り方をしているパターンです。
量が少なければ安く、量が多ければ高くなります。
Sサイズでは少ない、Lサイズでは多いので、間をとってMサイズが選ばれがちです。
Sサイズは74gで150円、Mサイズは135gで280円、Lサイズは170gで330円です。
Mサイズ単体で見ると280円なので高い印象がありますよね。
単体で販売されていたら買わない人が多いと思います。
でも、SサイズとLサイズとの比較によって、Mサイズが選ばれやすくなります。
活用方法
やりやすい方法としては、単体販売、セット販売を用意するやり方があります。
1個買う時、3個買う時、10個買う時でそれぞれ1個当たりの単価を変えます。
10個買う場合が最も単価が安くなるようにしておくことで、合計金額ではなく1個当たりの金額で比較されて、セット売りがよりお得に感じます。
その時、10個はいらないな〜と感じる人は多いので、3個セットが1番お買い得だと感じて3個買ってくれるという仕組みです。
売り方のパターン② 質の高い低い
レストランにはいろんな価格帯のワインが売られています。
ワイン通ではない顧客に対して提供する時、3,000円のワインと8,000円のワインしかない場合は3,000円のワインがよく選ばれます。
ここに15,000円のワインを追加すると、8,000円のワインがよく売れるようになります。
人はできるだけ良いものを安く買いたいと思っています。
でも松竹梅を示されることで、中価格帯のものが一番コスパの良い商品に感じます。
安すぎるものは品質が悪いというイメージを持つためです。
活用方法
高品質モデルを追加する、もしくは低品質モデルを追加してください。
本来買ってほしい価格帯のモデルの比較対象を作るアプローチです。
例えば
- より素材の良い商品、素材の良くない商品
- より機能が追加された商品、機能が削られた商品
- よりサポートが手厚い商品、サポートのない商品
など。
売り方のパターン③ 期間の長い短い
月々支払うサブスクリプション型のサービスで多いやり方がこれです。
配送料が無料になったり動画コンテンツが見放題になったりする便利なサービス「Amazonプライム」は月額500円です。
1年契約にすれば、年額4,900円になります。
1年続けるかどうかは関係なく、1年使って6,000円か4,900円かの比較になって、年額払いを選びたくなる人が多いはずです。
活用方法
長期契約プランを作ってください。
長期契約プランの月当たり金額を安くすることで、よりお得な買い物だと感じてもらえます。
価格設定だけで売る方法|おとり効果を活用した集客アップ術とは? まとめ
商品も変えず、価格も変えず、売り方を増やすだけで、より売れる方法があります。
それが「おとり効果」の力を利用するやり方です。
おとり効果とは、周囲の情報を比較材料として、対象を評価してしまうという人間の性質を利用した効果です。
商品単体でお得かお得でないかを判断するのではなく、同時に提案されている他の商品の内容と比較して、お得かお得でないかを判断するということです。
おとり効果の力を利用するためのアプローチには、
- 量の多い少ない
- 質の高い低い
- 契約期間の長い短い
の3つがあり、それぞれ内容の違いによって価格帯を変えることで、より高い商品を選んでもらえるように仕向けます。
買ってもらいたい価格帯の商品に対して、「これを選ぶのが1番お得だ!」と感じてもらえるような、おとりとなる売り方を追加してみてください。
行動心理についてもっと知りたい!という方は、この本を是非チェックしてみてください!
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