マーケティングは、買い手の意識と行動を変化させる仕組みづくりです。
私たちマーケターは、人がとる行動の元となる心理状態を理解することで、望む結果へと導くことができます。
人がとる行動の裏には共通の心理状態が隠されています。
それを明らかにするのが「行動心理学」です。
今回は行動心理の中でも、マーケティングで大きな力を発揮する「社会的証明の原理」についてお話しします。
行動心理学については、こちらの記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください⬇︎
目次
社会的証明とは
社会的証明とは、自分の判断よりも周囲の人たちの判断を優先してしまう行動心理です。
何かを判断するときに、他の人たちがどう考えて行動しているかを判断基準にしたくなるという力が働きます。
例えば
- 行列ができているラーメン屋に並ぶ
- ランキング1位の商品を選ぶ
- 一緒にいる友達が飲み物を買うと自分も買う
など。
周囲の人たちが多ければ多いほど、社会的証明の力は大きくなります。
社会的証明の力が強く働く状況があります。
それは、「自分の判断に自信が持てないとき」と「自分と似た誰かの行動」の2つです。
人はできるだけ失敗したくないと思っています。
なので、間違いなくこれが正しいと思えてなければ、誰かがすでにやっていることを真似した方が良いと思います。
自分よりも良くわかっている相手が選んだ方法が正解だと感じるからです。
例えば
事故現場などでは、多くの人が何もせず見ているだけの状況になるそうです。
これは、その状況に遭遇したことがないので、どういう対応が正解か判断がつかないからです。
正しい対処がわかっていない自分が行動することで事態を悪化させてしまったり、厄介ごとに巻き込まれたりすることを避けたいと感じるので、何もしないことを選んでしまいます。
それを見て「みんな何もしてないから、それが正解なんだろう」と思ったり、「誰かが警察呼んだりしてるだろう」などと思って、何もしないことを選ぶ人が大勢になるという流れです。
この場合、周りの人たちは「自分と似た一般人」なので、周りと同調して同じ行動を取る傾向が強まります。
自分でご飯を食べない小さな子供が、自分と同じくらいの年齢の子供がご飯を食べているのを見て、自分で食べようとするのもまた、社会的証明の力が働いていると言えます。
社会的証明の力を証明する実験
痛みの経験が社会的証明の原理にいかに影響を受けるかを示した実験があります。
被験者以外の実験参加者(仕掛け人)が電気ショックを受けている時、まるで痛くないかのように耐えている場合は、被験者は電気ショックの痛みをあまり感じないと答えました。
これは自分ではなく、周りのみんなの判断や行動を優先してしまう社会的証明の力による結果だと言えます。
ちょっと怖い事例だったので、少しかわいい事例も紹介しておきます。
犬を怖がる3歳から5歳の子供たちに、小さな男の子が犬と楽しそうに遊んでいる様子を1日20分見せました。
すると、4日後には子供たちの67%が自ら進んで犬の遊び部屋に犬と一緒に入り、犬を可愛がるようになりました。
この実験でも、自分と似たような人がとっている行動が正しいと感じてしまう社会的証明の力が働いていることがわかります。
社会的証明の力をマーケティングに活かす方法
社会的証明はマーケティングで使われる鉄板行動心理と言っても過言ではありません。
いくつか使い方があるので紹介します。
社会的証明の活用法①「顧客の声」
最も力強く効果を発揮しているのが「顧客の声」です。
実際の顧客による商品へのお墨付きコメントは、自分と同じ悩みを抱えている人の行動を表現します。
その商品を買うべきか買わないべきかを迷っている人は、その商品を買った方が良いという自信をまだ持てていない人だと言えます。
その時、たくさんの「自分に似た人」がその商品を良いと思って買っていれば、買うことを決めるための大きな道標になります。
さらに、その顧客の声が多ければ多いほど、たくさんの「自分に似た人」がその商品を買うという選択をしていることに安心感を持てます。
すると、その商品を買うことが正しい選択だと感じて、顧客になってくれます。
社会的証明の活用法②「メディア取材」
多くの人が触れるメディアで商品を紹介されると、それが社会的証明に繋がります。
話題になっている、注目されているということは、「みんながそれを良いと思っている」ということなので、その商品を選ぶことが正しい選択のように感じます。
社会的証明の活用法③「専門家のコメント」
専門家は自分よりも何かに詳しい人です。
社会的証明の力は「自分の判断に自信が持てないとき」に発動します。
商品に対して専門家がおすすめするようなコメントを出していれば、自分の知らない多くの細かな情報を知っているはずの専門家が良いとしているなら、その意見は正しいものだと感じます。
社会的証明とは|マーケティングで使える行動心理 まとめ
社会的証明とは、自分の判断よりも周囲の人たちの判断を優先してしまう行動心理です。
「自分の判断に自信が持てない時」や「自分と似た誰かの行動を見た時」に社会的証明の力が強く働きます。
マーケティングにおいては、「顧客の声」「メディア取材」「専門家コメント」という形で、社会的証明の力は活用されています。
自分と似たような誰かが使っている、多くの人が良いと思っている、自分より詳しい人がおすすめしている、このような情報を買い手に伝えることで、買い手は「この商品を選ぶことが正しい選択だ」と感じて、あなたの商品を買ってくれます。
社会的証明の力を借りるためのコンテンツを用意することが、私たちマーケターがやらなければいけない重要な仕事です。
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