多くのマーケターが「どこに課題があるのかわからない…」と感じています。
なので今回は、マーケティング課題を見つけるためのマインドセットについてお伝えします。
マインドセット…経験から作られる考え方。思い込み、価値観、信念など。
目次
結論:マーケターは主観を捨てる
主観を捨てて、客観的な視点を持つことがマーケターには大切です。
主観とは自分の視点で物事を見ることです。「自分の考えや意見」のことだと思ってください。
客観とは他人の視点で物事を見ることです。「他人の考えや意見」のことだと思ってください。
人は自分のことだと安定志向になり、他人のことだと「あるべき」に着目する性質があります。
自分のことはリスクをより感じ、他人のことはチャンスをより感じるとも言えます。
このことを証明した実験があるので紹介します。
自分の視点と他人の視点の違いを証明した実験
学生に卒業後の進路について調査をしました。
次のどちらを選びますか?
進路1
ずっと準備をしてきた堅実な仕事。はじめは大変だけど、将来的には高収入と社会的地位が約束されている。
進路2
ずっと興味を持ち続けていた型破りな仕事。収入や社会的地位は期待できないが、充実感がある。
結果
66%の学生が進路2の「ずっと興味を持ち続けていた仕事」を選んだ。
親友にどっちを勧めるかを聞くと、83%が「ずっと興味を持ち続けていた仕事」と答えた。
多くの人が興味を持ち続けていた仕事を選びたいと思っています。
でも、友達のことになると「興味を持ち続けていた仕事を選んだ方が良い」という思いがより強くなっています。
自分のことには保守的な回答を選ぶ人がいて、他人のことには積極的な回答を選んでいる人がいるということです。
つまり、自分のことは安定志向になり、他人のことは「あるべき」に着目した考え方をするということがわかります。
収入や社会的地位が手に入らなくても、充実感のある人生を歩むべきだと考えている人は多いのに、自分のことにはそのリスク面を避けたいという感情が生まれるので、保守的な考えをしてしまいがちです。
他人の人生に責任を負うわけではないので、アドバイスとしてはより良いと思う方を選びやすいということですね。
マーケターが主観を捨てる理由
今うまくいっていないのは、今まで良いと思ってやってきたことが、結果に結びついていないということです。
なので、自分が正しいと思っていた物の見方や考え方を、一度リセットする必要があります。
これが主観を捨てるという意味です。
人は自分のことだと安定志向になる傾向があるので、マーケティングにおいても無難な選択を取りがちです。
例えば
- 今までやっている売り方を維持する
- パートナーを変えない
- やったことのない施策に手を出さない
など。
今までやってきたことを続けていて、成果がで続けているならそれが正解です。
でも、やってもやっても成果が出ないのであれば、そのやり方が間違っている可能性が高いです。
なのに無難な選択をしていては、現状を打破することはできません。
現状を打破するためには、今までやっていない新しいやり方が必要です。
なので、自分の主観による判断ではなく、別の人の視点であなたの事業に起こっている物事を見ることが大切です。
主観は過去の経験から作られます。
多くのマーケターが今までやった施策、今まで仕入れた情報などによって、マーケティング課題を捉えたり、対策を検討したりしています。
そのため、無難な選択をしてしまい、なかなか現状を打破することができません。
安定志向なやり方は、着実に成果が積み上がる方法です。
でも成果が積み上がっていないのであれば、それではダメだということです。
今までの積み上げの延長線で考えるのでは不十分だと言えます。
なので、主観を捨てて「あるべき」に目を向けられる客観の力を使います。
マーケターが客観の力を手に入れる方法
あなたが他の会社のマーケティングを支援することになったとします。
今のビジネスとは全く別の業界、商品も違えば顧客も違います。
マーケティングとしてやっていることも全然違う状況です。
全く知らない会社で、初めて知る商品を売れるようにする時、あなたは何からやりますか?
まずは、誰に売るのかを知らなければいけません。
- 顧客はどんな人なのか
- なぜその商品を買ったのか
- 市場にはどんな問題があるのか
- 他の商品では満たせていない理由は何か
など。
次に、何を買ってもらっているのかを知らなければいけません。
- どんな商品を売っているのか
- その商品の価値はなんなのか
- どんな特徴を持っているのか
- どんな実績や評価があるのか
- いくらで売っているのか
- 類似商品との違いはなんなのか
など。
そして、どんな購入導線で販売しているのかを知らなければいけません。
- 見込み客との接点はどこなのか
- どんなコンテンツを届けているのか
- どこで売っているのか
- どんな買い方ができるのか
など。
そしてそれらがどれくらい機能しているのかを、集客データから把握しなければいけません。
これらのリサーチは、あなたの事業でもやったことはあると思います。
でも
それは状況によって書き換えられ、最終的にはそれが主観となり、マーケティングの判断をする理由になっています。
多くのマーケターが過去やってきたこと、今やってることがベースにあります。
自分の中の蓄積を元に物事を判断してしまうので、客観の力を使うことができていません。
なので
自社のことを他社を見るように見ることができれば、そこに客観の力が生まれます。
全く知らない会社の全く知らない商品のマーケティング立て直しを依頼されたと思って、自社のマーケティングをリサーチし直してみてください。
主観に囚われているマーケターの特徴
うまくやれているマーケターは2割程度だと思います。
うまく行かない時、主観に囚われていることを疑ってください。
こんな状況があれば要注意です。
例えば
- うまく行かない理由を外部要因のせいにする
- 過去うまくいったやり方をやり続けている
- 費用対効果の見えない施策に手を出さない
など。
どれも過去の積み上げの延長線で物事を捉えている、安定志向・保守的な状況です。
もし1つでも当てはまるようだったら、今の事業のことは全く知らない想定で、1からマーケティングの状況把握をしてみてください。
客観の力が効果的にはたらく理由
なぜ客観の力を使うと、マーケティングが変わるのかについてお話しします。
それは、今までの自分たちを忘れて現時点を純粋にみた時に、「何ができるか?」と考えられるようになるからです。
そのビジネス、商品について素人の視点で事業の見つめ直すということは、それまでにやってきたことの情報がない状態です。
なので
- 昔成功したことにこだわることもありません
- 昔失敗したことを再検討することもできます
- 問題視してこなかった問題にも目を向けることができます
- 業界のことを知らないので、大胆な対策を考えることもできます
多くの企業では、臭いものに蓋をしてしまっています。
マーケターが社内の不協和を避けるために目をつぶっている状況がよくあります。
例えば
- 重役とのパイプがあるだけでパートナーが選ばれている
- 社長の思いつきで導入されて使いこなせていないツールがある
- マーケティング予算は渋られるのに、広報予算はザル
など。
完全に外部の目でこの状況を捉えた時、「マーケティングで成果を出すためには、ここを変える必要がある」と明言できると思います。
これが根本的な課題を見つけることに繋がります。
別の会社でマーケターをしている友達がいて、その人から「どこに課題があるかわからない…」と相談を受けたら、やってる本人たちも気付いているけど、目を向けないようにしてることがあっても、そこに改善の余地があるのであれば、その改善に着手すべきと言うアドバイスをするはずです。
自分のことは安定志向、他人のことは「あるべき」に目を向ける。
あるべきを目指さなければ、今の状況を変えることはできません。
もちろん、臭い物を解決すべき問題とすることで、社内で揉めるリスクはあります。
個人的理由で評価を下げられるリスクもあるかもしれません。
でも、マーケターとして結果を出すことを第一優先にするのであれば、「あるべき」をどう実現するのかを考えて、そこへ向かうべきです。
リスクが小さいというのは、リターンも小さいということです。
無難にやっているから、大きな変化が起きていません。
ビジネスを成長させるなら、リスクを取りに行かなければいけません。
そのリスクとは、「あるべき」状態にするために足りていないものを揃えられるかどうかの不確実性のことです。
あとは、どうやって足りていないものを手に入れていくかを計画して実行し、リスクを小さくしていけば良いだけです。
マーケターが持つべきマインドセットとは? まとめ
うまくいっていない時、私たちマーケターに必要なのは「主観を捨てて、客観的な視点を持つこと」です。
主観とは自分の視点で物事を見ることです。「自分の考えや意見」のことだと思ってください。
客観とは他人の視点で物事を見ることです。「他人の考えや意見」のことだと思ってください。
今うまくいっていないのは、それまでやってきていることが正しくなかった、もしくは正しくできていないということです。
過去の実績や考え方をもとにした主観で課題を探そうとすると、過去の自分を否定したくない気持ちもあり、今の延長線上で物事を考えがちです。
さらに、人には自分のことは安定志向に、他人のことは「あるべき」に着目する性質があるので、主観で判断しているとより無難な選択をしてしまいます。
なので、客観の力を使って、現時点だけを切り取った状況把握と判断をする必要があります。
それによって、過去や今の体制を否定することも含めた根本的な課題が見えてきます。
客観の力を手に入れる方法
他社のマーケティング支援を依頼されたと仮定して、何から始めるかを考えてください。
知らない会社の知らない商品をマーケティングする場合、何を、どういう方法で、どれくらい調べるのかを考えてください。
そして、その内容を自社で実際に実行してください。
自分の知識や記憶を頼りにせず、知っていることも改めて調べてみてください。
そうすれば、今まで目をつぶっていたことや、過去の延長線上ではない状況の捉え方ができるようになります。
過去の自分を否定することにも繋がるので、個人の感情が邪魔するかと思います。
でも、そこはあなたの会社のマーケティング立て直しを依頼された別の誰かになったと思い込んで、バッサリと切り捨ててください。
その結果、本質的な課題を見つけることができて「あるべき」へ向かう準備が整います。
やってもやってもうまく行かない、ジリ貧なマーケティングに陥ってしまっているなら、是非この客観の力を使って打開してください。