マーケティング全般

ブランディングとは?売れる商品にするための最強施策

ブランディングと聞いて何を思い浮かべますか?

「マーケティング」と同じで、「ブランディング」も多くの企業が誤った意味で捉えています。

今回は、ブランディングとはなんなのか?なぜ必要なのか?ブランディングが必要なのはどんな企業か?などについてお伝えします。

 

ブランディングの誤解

マーケティングの仕事をしていると、「ブランディング」という言葉によく出会います。

でもその多くが「企業名や商品名を認知させること」の意味で使われています。

企業名や商品名を消費者に擦り込むことで、自分たちの存在を知ってもらうことだと考えられています。

多くの企業がブランディングとは、自分たちの主張や商品が目指している世界を言葉やイメージで伝えることだと思っています。

でも、これはブランディングの一部にすぎず、さらに言うと、この認知することをブランディングだと思っている内は、ブランディングは成功しません。

では、ブランディングとは何なのかについてお話しします。

 

ブランディングとは

ブランディングとは、ブランドを作る行為です。

ブランドとは、ある商品に対して顧客が感じる他の商品が持っていない「価値のある意味」のことです。

高級品をブランド品と言うように、高いものに対して使われる言葉だと思われがちですが、そうではありません。

商品に機能以外の価値を生み出している意味があれば、安い商品でもブランドがあると言えます。

まずはわかりやすいので、高級ブランドの例えを使って、ブランドについてお話しします。

ブランドを理解するための例

高級ブランドと呼ばれる数十万円、数百万円するカバンが買われるのは、顧客にとってそれだけの価値があると感じられているからです。

カバンは何のために使うのかというと、ものを持ち運びしやすくすためです。

素材の違い、作り方の違いはあれど、数千円で買えるものと数十万円で買えるものが持つ基本的機能に違いはありません。

つまり、商品が提供する機能的ベネフィットについては同じと言えます。

ベネフィット…メリット、利便性。商品を使うことで手に入るプラスの結果

カバンの機能が欲しいだけなら、わざわざ高い物を買う人はいません

同じ甘さのバナナが100円と1000円で売っていて、1000円のバナナを買う人はいないですよね。

でも、高級ブランドのカバンを10倍100倍の金額で買う人たちはいます。

高級ブランドのカバンには、普通のカバンにはない機能以外の価値があると感じているからです。

それがブランドの持つ「価値のある意味」です。

例えば

  • そのブランドの商品を買う自分
  • そのブランドの商品を持つ自分
  • そのブランドの商品を使っている人と周囲に思われること

など。

それらに価値を感じているから、10倍100倍の価格のする高級ブランドのカバンを買う人がいます。

ブランドを理解するための高級品以外の例

ブランドは何も高級品のみに使われるものではありません。

顧客が他の商品とは違う意味を感じて、それを価値だと思っていればブランドがあると言えます

例えば

クラスの中で頭の賢いA君がいるとします。

A君は周りから「あいつは勉強ができる」と思われている時、その生徒はクラスの中で「賢いブランド」が確立できていると言えます。

そのクラスでは「”賢いやつ”と言えばA君だ。」という共通のイメージや認識ができていて、勉強を教えてもらうならA君にみんながお願いする時、そこにブランドが存在していると言えます。

もし、A君が自分で「俺は他のやつより勉強ができる」「こないだのテストも満点だったよ。すごいでしょ?」「毎日10時間勉強してるよ」などとクラスメイトに言いふらしているとしたら、「は?何言ってんの?知らないんだけど。」という反応になりますよね。

A君自体の行動を見たり体験したりすることによって、周りがA君を「賢いやつ」と認めたときにブランドが生まれます。

例えば

  • 授業で難しい問題を簡単に解いてしまったり
  • 試験結果で1位を取ったり
  • わかりやすく勉強を教えてくれたり

など。

でも、多くの企業がこの自分で自分のことを周りに発信することをブランディングだと思ってやってしまってます。

例えば

  • 我々はこれを目指しているブランドだ
  • 我々はこんなことをやっているブランドだ
  • 我々はこんな実績があるブランドだ

など。

ポイントは自分たちで自分たちのことを主張することがブランディングではないということです。

行動によって主張を体現して、それに対して顧客が「確かにそうだ」と感じたときにブランドが成立するということを覚えておいてください。

はむ師匠
自己紹介はブランディングじゃないよ〜

ブランディングが必要な理由

ではなぜブランディングがマーケティングに必要なのかをお話しします。

顧客が商品を買う理由は、その商品を使うことで課題が解決できるからです。

不便が便利になったり、できないことができるようになったり、悩みが解消されたり。

なので、商品に対してまずは機能を求めます

自分の求める機能を持った商品を買おうとします。

でも、モノが溢れている市場では、商品の機能の差はほぼなくなっています。

すでに必要なモノは手に入れてしまっているので、新しく何かを手に入れる必要がない人がほとんどです。

なので、「これが解決します」という機能を推した商品を売っても、それが買う理由になりづらいのがモノが溢れている成熟した市場です。

では、人は何が理由で買う商品を選んでいるのか?

成熟した市場で人が商品を買う本当の理由

モノが溢れてすでに必要な機能が満たされている成熟した市場において、人が商品を買う理由は「自分の価値観を表現する商品かどうか」です。

人は「自分はこういう人間だ」という自己評価をしています。

これを自分自身に対する価値観「アイデンティティ」と呼びます。

そうありたい、そう思われたいと思っています。

なので、それを示すための行動をとります。

例えば

  • 自分は世界で活躍する人間だから、世界情勢にも目を向ける
  • 自分は健康に気遣っていたいから、食事に気を使う
  • かっこいい自分でいたいから、身なりに気を使う

など。

それを実現するためのアイテムになる商品を選んでいます。

例えば

  • 世界情勢に目を向けるために、海外メディアの有料会員になる
  • 食事に気を使うために、サプリメントで栄養補給をする
  • 身なりに気を使うために、パーソナルトレーニングジムに通う

など。

例えば

macのコアなユーザーは、Appleのデバイスしか使いません。(仕事で使うからwindowsパソコンも使っているという人はいると思いますが)

Apple製品を使うことが、目指したい自分の姿を体現するために必要だと感じているからです。

他の製品を使うことは、自分の目指す姿とズレた行動になると思っているので、他のメーカーのパソコンを使うことはありません。

でも、windowsパソコンをメインに使っている人からすれば、この感覚は共感できないことになります。

「なんでスペック低いパソコンを使うの?」「カスタマイズ性も低いし」「別にそこまでスタイリッシュだとも思わない」など、評価の仕方は人それぞれです。

この評価の違いは、人の価値観の違いによって生まれます。

価値観…ものの見方、捉え方。過去の経験からくる判断基準など。

なので、顧客の価値観にあった「意味づけ」をすることで、選んでもらえる商品になるということです。

顧客が商品を選ぶ理由が「自分の価値観を表現する意味」なので、企業は「価値になる意味づけ」であるブランドを確立する必要があります。

はむ師匠
機能ではなく、意味を理由に買ってもらうということだね〜

ブランディングが必要な企業

ブランディングは全ての企業に必要です。

機能だけで差別化をすることが難しいからです。

革新的な技術を開発して、それを活用した商品を作れるならブランディングは必要なくなります。

ですが、多くの企業がそんな特別な企業ではありません。

なので、似たような機能的価値に上乗せする「意味的価値」によって、顧客に選んでもらえる状況を作らなければいけません

そのためにブランディングは必要です。

特に小さな企業ほどブランディングは重要になります。

その理由について、ブランディングの2つのメリットについてお話しします。

ブランディングのメリット① リピートが増えて収益が安定する

小さな企業が抱える最も大きな課題は、新規顧客の集客です。

プロモーションに使えるお金が少ないので、なかなか顧客が集められません。

なので、商品を買い続けてくれる顧客を増やすことで、収益を安定化させることが事業成長への第一歩となります。

顧客との間にブランドが確立されていれば、顧客は買い続けてくれます。

あなたの商品を買うことが、顧客の価値観の表現に繋がるからです。

ブランディングのメリット② 顧客が顧客を連れてきてくれる

そしてもう1つのメリットが、顧客が顧客を連れてきてくれることです。

自分の気に入っている商品で、その商品を使っていること自体が自分にとってプラスだと感じていれば、それを周りの人にも勧めたくなります。

好きなアーティストの曲を友達に教えたくなるのと同じ感じです。

自分の好きなものに共感してほしいという思いは、自分の価値観をわかってほしいという思いに等しい感情です。

そして、自分の価値観をわかる人を増やしたいと思うので、周りの人にも好きになってもらうためにお勧めをします。

無理やり好きな曲を聴かせてくる人とかいますよね(笑)

これを顧客の「ファン化」と呼びます。

顧客が顧客を連れてきてくれれば、集客コストはゼロです。

口コミで集客できれば、プロモーション予算が限られていても、新規顧客を集めることができます。

なのでリソースの限られている小さな企業ほど、顧客を巻き込み、顧客に自分たちの仲間として行動してもらえるブランドを作ることが大切になります。

 

ブランディングとは?売れる商品にするための最強施策 まとめ

ブランディングはマーケティングと同じくらい間違えられている言葉です。

ブランドを作る活動がブランディングです。

多くの企業がブランディングのことを、名前やロゴを認知させることだと思っています。

ブランドを知ってもらうための活動であることは間違いないですが、それによってブランドを作れるわけではありません。

ブランドとは、ある商品に対して顧客が感じる他の商品が持っていない「価値のある意味」のことです。

同じような商品があるのに、その商品を選ぶ理由となる意味的な価値を持っていること、またはそれを持っている商品のことをブランドと呼びます。

成熟した市場では、機能的な価値だけでは商品は選ばれません。

数ある商品の中で、「どの商品が自分に合っているか?」が選ぶ基準となります。

それは自分の価値観やアイデンティティと呼ばれる自分自身の在り方によって、あっているあっていないが決められます。

なので、他の商品との違いを機能で作ろうとするのではなく、その商品を使うことの意味を顧客に感じてもらうアプローチが必要になります。

機能は多くの人の共感を得られますが、意味は多くの人の共感を得られるものではありません。

人の価値観はそれぞれだからです。

私たちマーケターは、自分たちの売る商品に意味的価値をどう作り、どう共感してもらい、どう同調してもらうかを考えて顧客とのコミュニケーションを作っていかなければいけなくなっています。

とても難しいことですが、小さな企業や新しい商品でもブランドを作ることで、事業を成長させていくことができるということでもあるので、意識してマーケティングしていってください。

はむ師匠
自分が買った商品を買った理由を考えてみると発見があると思うよ〜

ブランディングのやり方については、こちらの記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください⬇︎

 

  • この記事を書いた人
はむ師匠

はむ師匠

マーケティングの力でハッピーになれる人を増やすために、マーケティングの知識を発信しているマーケティン熊。 「マーケティングを使える人が増えれば、今よりも世の中は良くなる!」と信じて、大企業からスタートアップ企業まで、今まで100社以上のマーケターにマーケティングの使い方を指導してきている。

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