マーケティング全般

ニーズとは?ウォンツとは?人が商品を買う理由

マーケティングを勉強していると、「ニーズ」と「ウォンツ」という言葉にぶつかります。

人が商品を買う時に生まれている感情が、「ニーズ」と「ウォンツ」です。

辞書的な言葉の意味は、ニーズは必要、ウォンツは欲しいということです。

必要だと感じるから手に入れたいと感じますし、欲しいと感じるから手に入れたいと感じます。

どちらも「欲求」を表しています。

どっちがどうなんだ!と感じる方は多いので、今回は「ニーズ」と「ウォンツ」の意味と、おすすめの考え方についてお伝えします。

 

ニーズとは

ニーズがある状態とは、人が「私にはこれが必要だ」と感じている状態です。

何かを必要だと感じると「それを手に入れたい!」という気持ちになり、手に入れなければ済まない状態になります。

自分の抱える課題を解決したいと感じているのが、ニーズのある状態です。

なので私たちマーケターは、いろんな施策を通してターゲットに「あなたの商品が自分には必要だ」と感じてもらわなければいけません

例えば

気になっている女性が、男性に着てほしいと思っているファッションブランドがあるとします。

どう見ても自分の体型では着こなせないので、今のプヨプヨの自分をなんとかしなければいけない状況が目の前にある時、「痩せてこの服を着れる男になりたい!」という欲求(ニーズ)が生まれます。

そして、その解決策として「プヨプヨ体型をすぐに痩せマッチョにする方法」を手に入れたいと感じ、それを実現してくれる商品を欲しいと思います。

このようにニーズとは、人が商品を買うための動機となる感情です。

 

ウォンツとは

ウォンツとは欲求のことです。マーケティングの第一人者として知られるコトラー教授は、「ウォンツとは特定の商品へと向けられる欲求だ」と言っています。

フィリップ・コトラー

時代とともに変遷するマーケティングの概念を平易で具体的に説明していることなどから、「近代マーケティングの父」、「マーケティングの神様」と評される。「マーケティングは生産物を処分するための技術などではなく、本物の顧客価値を生み出すための活動で、顧客の生活向上を支援する概念でもある」、「マーケティングの役割とは、たえず変化する人々のニーズを収益機会に転化することだ」など、マーケティングの本質について広く理解を得るための活動を行っていることで知られる。(Wikipedia)

ウォンツを「欲しい」「手に入れたい」という意味で考えると、この意味は理解できます。

自分にとって必要だと感じてから、特定の商品に対して「欲しい、手に入れたい」と感じるため、ウォンツはニーズの後にくる感情だと説明されます。

つまり、ウォンツとはどの商品を選ぶかの理由になる感情だと言えます。

例えば

先ほどの気になっている女性を振り向かせたいと思っている男性の場合、「プヨプヨ体型を痩せマッチョにする方法」を手に入れたいと思っています。

その方法として「短期間で痩せマッチョになれるパーソナルトレーナー付きジム」「できるだけお金をかけずに痩せマッチョになるトレーニングDVD」のような、具体的な手段を選ぶ理由となる欲求が生まれます。

これがウォンツだとされています。

 

一般的なニーズとウォンツの使われ方

webで「ニーズとウォンツ」と検索すると、ニーズとウォンツに対して説明した記事が上位表示されます。そのどれもが「ニーズは目的」「ウォンツは手段」のように書いています。

つまり、ニーズが先にあり、ウォンツが後でくるという考え方です。

これはコトラー教授が言っている、

ニーズとは「人間が生活上必要なある充足状況が奪われている状態(欠乏状態)のこと」で、ウォンツとは「そのニーズを満たすための特定のモノが欲しいという欲望のこと」

という話を元にした考え方です。

 

マーケティング道場のとしてのニーズとウォンツの考え方

ここで意見が分かれるところなのですが、私たちはウォンツを「欲求(願望)」だと考えることをおすすめしています。

なぜなら、人の行動は感情が出発点だからです。

「こうなりたい!」「こうありたい!」という欲求(願望)があり、そのために今の自分には「これが足りない!」「これが必要だ!」と不足と必要を感じるからです。

欲求は必要よりも先に生まれる感情です。

ウォンツを「願望」として捉えれば、課題を解決したいと感じる「必要」よりも先にくる感情だと考えられます。

ウォンツがあるからニーズが生まれる。

例えば

ダイエットしたい男性の例で説明すると、「あの子と付き合いたい!デートとかいろいろしたい!」という欲求があり、それを満たすために「あの子が好きな洋服を着こなせる体型になる」という必要が生まれているということです。

人にはまず、叶えたい願望があり、それを叶えるために解決の手段が必要になると考えた方が、顧客をしっかりと理解することができます。

顧客の感情を理解するための質問

  • なぜそれが必要だと感じているのか?
  • その課題を解決することでどんな感情を満たしたいと思っているのか?

これらを知ることができれば、よりターゲットの感情を動かし、行動へと導くことができます。

特定の商品に向けられる欲求は「需要」

商品へ向けられる欲求については、「需要(demand)」を使うと良いです。

需要とは、商品に向けられるそれを手に入れたい欲求のことです。

ただ欲しいという意味ではなく、買い手の買うことができる対象に使います。

例えば

1万円のコース料理を食べたいと感じるのは大人にとっては需要ですが、子供にとっては需要にはなりません。

コトラー教授の提唱した

ウォンツとは「そのニーズを満たすための特定のモノが欲しいという欲望のこと」

に対応する用語としては、需要を使うことで筋は通ります。

ウォンツ(願望)によって生まれたニーズ(必要)を満たすために、デマンド(需要)が生まれる。

という考え方をしてください。

補足

別の説明の仕方として、潜在的な欲求をウォンツ、顕在的な欲求をニーズだとも言えます。

  • 潜在的とは、本人も意識していない状態
  • 顕在的とは、本人が意識できている状態
はむ師匠
言葉を覚えるよりは、人の感情の流れを理解することが大事だよ〜

 

ニーズとウォンツどちらが大事なのか?

ニーズとウォンツはどちらも必要です。

なぜなら、必要だと感じなければ欲しいとは思いませんし、願望がなければ必要だと感じないからです。

顧客が商品を買う時、ウォンツもニーズもそこには存在します

では、どちらがより重要なのかと言うと、それはあなたが目指したい市場によって変わります。

成長市場や成熟市場でビジネスする場合

成長市場や成熟市場でビジネスをする時、その市場にはニーズがあります。

すでに多くの人が必要を満たすために商品を買っているからです。

なので、ニーズを満たす商品をつくり、買い手が手にしやすい届け方をすることでマーケティングしていけます。

もし市場シェアを大きく取りにいくのであれば、潜在的な欲求を抱えた人たちを顧客にしていかなければいけないので、ウォンツへのアプローチをしてニーズを引き出していくことになります。

「欲しい!」という気持ちを作って、それによって「必要だ!」と感じる状況を作り出すということで、商品を「買いたい!」と感じる人を増やすということです。

新興市場や衰退市場でビジネスする場合

新興市場や衰退市場でビジネスをする時、その市場にはニーズがありません。

新しい市場には顧客はいません、衰退していく市場にも顧客はいません。

なので、ウォンツを引き出す商品をつくり、見込み客が気づけていない価値を感じてもらうことによって、マーケティングしていかなければいけません。

あえて衰退市場でビジネスする必要はないと思いますが、今まさにそういう市場でビジネスをしている人は、人の願望(ウォンツ)に注目するようにして商品を作ったり、届けるようにしてください。

 

ニーズとは?ウォンツとは?人が商品を買う理由 まとめ

ニーズもウォンツもどちらも「欲求」を表す言葉です。

どちらも顧客を理解し、自社のマーケティングを考える上で重要な感情です。

どんな人でも必ず、「こうありたい!」という欲求(ウォンツ)が生まれて、それを満たすために「解決策を手に入れたい!」という必要(ニーズ)が生まれます。

そして、その「手に入れたい」という感情が特定の商品に向けられた時、それを需要(デマンド)と言います。

私たちマーケターは、売っている商品への需要を作るのが仕事だと言えます。

そのために、ウォンツとニーズを引き出すことがとても大切です。

顧客がいる市場では、顧客の解決したい課題が明らかになっているので、ニーズへのアプローチが有効です。

顧客がいない市場では、解決したい課題を持っている人がいないので、ウォンツへのアプローチが必要になります。

誰もが持っている「願望」にアプローチして、「解決すべき課題」を引き出してあげることで、解決策としての商品を買う理由を作ります。

ウォンツやニーズは言葉としてよく使われる用語ですが、英語ですし言葉の意味も似通っていてややこしいので、フワッと使われていることが多いのが実際です。

言葉の意味にとらわれ過ぎず「人は叶えたい欲求があり、それを実現するための手段を必要としている」と覚えておいてください。

はむ師匠
こうなりたい!→これが足りてない!→これが必要だ!の流れだけ覚えておけばいいよ〜
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はむ師匠

はむ師匠

マーケティングの力でハッピーになれる人を増やすために、マーケティングの知識を発信しているマーケティン熊。 「マーケティングを使える人が増えれば、今よりも世の中は良くなる!」と信じて、大企業からスタートアップ企業まで、今まで100社以上のマーケターにマーケティングの使い方を指導してきている。

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