マーケティング全般

マーケットイン・プロダクトアウトとは?|今取り組むべき商品開発アプローチは?

商品を開発する時、2つのアプローチがあります。

それが「マーケットイン」と「プロダクトアウト」です。

顧客から始めるか、製品から始めるかの違いです。

マーケティングをかじっている人なら、「マーケットインじゃないとダメだよね」という意見を持っていると思います。

ですが、事業の規模や目指すゴールによって使い分ける必要があります。

マーケットイン、プロダクトアウトという言葉を初めて聞いた人は、その意味とそれぞれの活用について学んでください。

マーケットイン、プロダクトアウトという言葉を聞いたことがある人は、これからの時代に活用していくべきアプローチについて知っていただければと思います。

はむ師匠
マーケターにとって、とても大事なお話だよ〜

 

マーケットインとは

マーケットイン発想とは、生活者が求めている商品を作り提供するという考え方です。マーケット(市場)から始めるということですね。

誰かが求めている商品を届けるのだから、売れますよね。本来はそれでマーケティング終了です。

でも、なぜ多くの企業がマーケティングに悩んでいるのか?

それは、顧客が求めているものを知るのが難しいからです。

そのため、多くの企業は生活者が何を求めているのかを知るための調査を行っています。

マーケティングがリサーチのことだと間違われていたりするのは、「顧客を知ること=マーケティング」だという考え方になってしまっているためです。

モノが不足している時代では、みんなが必要とするモノは同じようなものでした。テレビ・洗濯機・自動車など、生活をより豊かにするための商品をみんなが求めていました。

そういう時代では、生活者の求める商品が明らかなので、マーケットインの発想で商品を作りやすかったと言えます。

リサーチについてはこちらの記事も参考にしてください⬇︎

理想的なターゲットの見つけ方|3つのリサーチ法

 

現代の人が商品を買う理由

でも今の時代、多くの人が生活に必要な物はほとんど手に入れてしまっています。

「これがないと生活ができない」という状態で暮らしている人は少数派ですよね。

なので、「これが足りていない」と誰もが思えるわかりやすい商品はなかなか存在しません。

昔なら

  • 自動車がないと遠出できない
  • 全自動洗濯機がないと洗濯に時間がかかるし手間もかかる
  • テレビがないと娯楽がない

など、生活を便利に過ごすためにみんなが必要としていた製品がありました。

時代によって、その時代を象徴するような製品があります。今ならスマートフォンがないと不便ですよね。

人はいつの時代もより良い生活を求めています。これは原理原則です。

原理原則とは、根本となる仕組み、基本的な規則や法則の事。

はむ師匠
「こうすれば、こうなる」というものだね〜

現代では、モノによる「より良い(価値)」ではなく、サービスによる「より良い(付加価値)」を求めています

そのため、生活者の「より良い」をなかなか情報としてはとらえにくく、多くの企業が商品作りに困っている状況です。

昔であれば、リサーチによってどういうところに住んでいるどんな人たちが、どれくらいの稼ぎがあり、どんな商品を欲しいと思っているのかを調査することで、その情報を元にその人たちのための商品を作り、その人たちが買える場所で売られました。

でも、付加価値を求める時代では、アンケートなどで出てくる表面的な回答を元に、見込み客が本当に求めていることを知ることはできません

そのため、多くの調査がなんとなく行われて、マーケティングに役立てられないものになってしまっています。

顧客を知ることはマーケティングの出発点であり、成功と失敗を分ける大きな要因になります。

でも、生活者の求めることがより「個人的なコト」になっている今、それを見つけることは簡単ではなくなってきています。

はむ師匠
マーケットインが難しい時代だと言えるね〜

 

プロダクトアウトとは

プロダクトアウト発想とは、売り手が良いと思った商品を作り売るという考え方です。

アーティストの活動に似たところがあるかもしれません。自分がいいと思ったものを作り、それを人に評価してもらって買ってもらう感じですね。

プロダクトアウトがダメだと言われている理由

マーケティングの世界では一般的に「プロダクトアウトではダメだ!マーケットインが大事だ!」と言われています。

その理由は「プロダクトアウトは、良い商品を作れば売れると思っているから」と考えられているからです。

良いモノがあれば、人はそれを買った時代があります。

なので、良いモノさえ作れば売れるという考え方が、ビジネスをする人たちに定着してきました。

良いモノの定義は「便利で、安くて、すぐに手に入るもの」でした

なので、便利を追求して機能を追加したり、製法を改良したり、大量生産をして安く販売したり、全国に流通させて買いやすくしたりすることが、「売れる仕組みづくり=マーケティング」だったと言えます。

良いモノを求めている時代では、より高機能なモノを作ることがマーケティングを押し進める大きな力になっていたのは間違いありません。

でも、良いモノを作ることにこだわりすぎた結果、顧客が置いてけぼりになる状況が生まれました。

例えば

  • 薄すぎる携帯電話
  • 選びきれないほどのカラーバリエーション
  • 使わない機能を搭載したパソコン

など。

競合商品との競争のために、相手よりも多くの機能を追加しよう、相手よりもより有利な仕様に改良しようということが目的になり、使う側にとって不要な機能や仕様がてんこ盛りの製品が作られるようになっていきます。

「確かに薄いのは持ちやすいけど、すでにちょうど良い薄さになってるよね。十分に軽いし。」と利用者は感じているのに、「我が社の製品は従来品よりも0.5mm薄くなってます!」とドヤ顔で言われても、「だからなに?」としか思わないですよね?(苦笑)

その研究開発費が製品の価格には上乗せされています。必要としてない機能や仕様に高いお金をとられたいと思う人はいませんよね。

だから、多くのプロダクトアウト発想的商品が売れない状況にあります。

もちろん、「こういう商品があったら、欲しいと思う人がいるだろうな」と思うから、それを作っているはずです。

でも、顧客をよく見ずに競合商品を見て「この他社製品よりももっと高機能なモノにしよう!」と思って商品作りをしてしまうところがダメなだけです。

顧客の求めていることを知らずに、他社を見て商品を作ってしまうところに、プロダクトアウトではうまくいかないと言われる理由があります。

はむ師匠
競合なんて無視するんだよ〜

 

マーケットインとプロダクトアウトはどっちが良いのか?

世の中的には、マーケットイン発想をすべきと言われています。

なぜなら、生活者の暮らしは便利になり、必要な商品はほとんどの人が手に入れているからです。

多くの人が今より良い商品を求めているので、その+αの価値が何なのかを知らなければ、求められる商品を作ることはできません。

だからと言って、生活者が「こういうのあったらな」と思っている商品を作るだけではいけません

なぜなら、他の企業もそれに合わせた商品を作って売ってくるからです。

結局、似たような商品が見込み客の目の前に並ぶことになり、顧客の買い物を複雑化させていきます。

どの商品を選べば良いのかわからなければ、商品の情報や口コミなどの評価はすぐに調べられます。

その時、選ばれる理由がないと買ってもらえる商品にはなりません。

似たような商品であれば、最終的には価格で選ばれてしまいます。

そうなると、生産力や資本力で勝てる大手企業には勝てません。

では、どうすれば良いのか?

今後は、プロダクトアウト発想でビジネスをすべき

今後は、プロダクトアウト発想がより重要になっていくと考えています。

なぜなら、多くの人が自分の意思で商品を選べない状況だからです。

「これを使えば今より便利になれる!抱えている課題が解決する!是非使ってみてほしい!」という思いで作られた商品を、情報の海で溺れそうになっている人たちに届けていくのが、プロダクトアウト発想の商品開発です。

つまり、商品の強みを作るためには市場の「こんなのあったら良いな?」ではなく、その分野のプロとして「これがなきゃダメなんだ!」を強く押し出して、選ばせていかなければいけません。

これによって世の中に無い商品を作り、競合との争いの場からは離れたところで商売ができる状況を作ることが、多くの企業にとっての成功への近道です。

今の時代、「自分にど真ん中の商品だ」と感じてもらえるような独自性のある商品でなければ買ってもらえません。独自性があれば、情報の海の中でも見つけてもらえる存在になれます。

もちろん、見込み客が求める価値を提供できるという前提は外してはいけません。

なので、顧客の理解という点ではマーケットイン発想も必要と言えます。

「口に出しているような求めているもの」を知るというよりは、本人も「意識できていない内面的な欲求」を叶えてあげる商品にするというところがポイントになります。

「これ!これ!こういうのが欲しかったんだ!」「これはまさに自分のために作られた商品だ」と思ってもらえるような商品を作ることが、マーケティングを成功させるために重要です。

はむ師匠
商品が良くないと、マーケティングはうまくいかないよ〜

 

マーケットイン・プロダクトアウトとは?|今取り組むべき商品開発アプローチは? まとめ

マーケットインもプロダクトアウトも、マーケティングしていく上では必要な発想です。

どちらかだけが正しいというものではありません。

マーケットイン発想だけでは、横並びの商品になり価格競争に巻き込まれてしまいます。

ですが、マーケットを無視した「自己満商品」、競合だけを見た「あっちより良い商品」を作っていては、買ってもらえません。

人は、モノの価値だけで満足することができなくなりつつあります。

そこにプラスされる付加価値を手に入れるために、商品を買っている人は増えています。

人が商品を買う理由が、「利便性を高めること」から「自分が自分であるため」へと変わってきています

企業はその顧客の買う理由の変化をしっかりと捉えて、買い手の内面的な欲求を叶えてあげられる、独自性のある商品(自分たちにしか作れない商品)を作っていく必要があります。

それが、今後必要とされるプロダクトアウト発想です。

 

  • この記事を書いた人
はむ師匠

はむ師匠

マーケティングの力でハッピーになれる人を増やすために、マーケティングの知識を発信しているマーケティン熊。 「マーケティングを使える人が増えれば、今よりも世の中は良くなる!」と信じて、大企業からスタートアップ企業まで、今まで100社以上のマーケターにマーケティングの使い方を指導してきている。

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