マーケティング全般

行動心理学とは|マーケティングを劇的に変える力の活用法5選

マーケティングは、買い手の意識と行動の変化を起こすことで、商品を買ってもらう仕組みです。

なので、まず売る相手のことをよく理解しなければいけません。

そのために活用できるのが「行動心理学」です。

今回は、マーケティングの力をより大きくするために使える行動心理とは何なのか、マーケティングへの活用の仕方についてお伝えします。

 

行動心理学とは

人間には「こういう気持ちの時は、こういう行動をとる」という、多くの人が持っている性質があります。

嬉しい時は笑顔になりますし、凹んだ時は暗い表情になったりと、人間の感情と行動は結びついています。

人間の行動から感情を読み解く学問が「行動心理学」です。

例えば

  • 腕組みをする人は、自分を守って安心感を得たい気持ちがある
  • 貧乏ゆすりをする人は、欲求不満や苛立ちを解消したい気持ちがある
  • 会話中に鼻を触る人は、隠し事がバレていないか不安な気持ちがある

など。

感情を表現している行動から、相手の心理状態を読み解くことができます。

この人間の性質を利用することで、よりあなたの商品を買ってもらえるようになります。

 

マーケティングに行動心理学を活用すべき理由

「感情と行動が繋がっていることはわかった、でもそれがどうマーケティングに役立つのか?」と思いますよね。

マーケティングは、相手の意識と行動の変化を促す仕組みです。

欲しいと思っていない人に「欲しい!」と感じてもらったり、買おうかどうか迷っている人に「買おう!」と決断してもらったりすることで、商品を買ってもらえるようにする活動がマーケティングです。

あなたの商品を欲しい人が世の中にいて、その人がわざわざあなたの商品を見つけて、勝手に買いに来てくれるわけではありません。

なので、売り手のアプローチによって、「欲しい」「必要だ」という感情を作り出して、買ってもらう必要があります

人は意識が変われば行動が変わります。

自分にとって役に立つ商品だと感じれば興味を持って、より詳しい情報を集めようとします。

情報を集めた結果、商品や売り手に対して信用できれば、買おうと決めます。

そして、手に入る価値と支払うコストが「価値>コスト」の状態、つまりお買い得だと感じれば買います。

意識が変わることで、徐々に購入へと近づいていきます。

なので

買い手の意識を変えることが重要で、行動から心理を読み解く行動心理学が役に立ちます。

マーケティングに行動心理学を活用する方法

感情を表現するために行動が生まれるのですが、逆に特定の行動を取ることで、その行動に紐づく感情を生み出すことができると言われています。

例えば

  • 笑顔になることで、楽しい気持ちになる
  • 不機嫌な態度をとると、楽しくなくなる
  • 好きと言っていると、好きになる

ような感じです。

行動心理に基づく「こういう心理状態の時、人はこういう行動をとる」という性質を、「人はこういう行動をとった時、こういう心理状態になる」という逆の性質として考えて、マーケティングでは活用します。

例えば

  • 自分を守って安心感を得たい気持ちにするために、腕組みをさせる
  • 欲求不満や苛立ちを解消したい気持ちにするために、貧乏ゆすりをさせる
  • 隠し事がバレていないか不安な気持ちにさせるために、会話中に鼻を触らせる

など。そもそもそういう感情になっていないけど、その感情に紐づく行動を取ってもらうことで、感情を作り出すというアプローチです。

具体的に紹介した方がわかりやすいと思うので、行動心理学のマーケティングへの具体的な活用法をいくつかお伝えします。

 

マーケティングに活用できる行動心理5選

行動心理学を活用した代表的な5つの手法について紹介します。

1.返報性の原理(返報性のルール)

返報性の原理とは、簡単に言うと「プレゼントされたらお返しがしたくなる」という行動心理です。

これを活用しているのが、無料のお試し商品です。

例えば

  • 食品売り場の試食
  • 化粧品の無料サンプル
  • 塾やスクールの無料レッスン

など。

「恩を感じるから返したい」という側面だけではなく、「借りを作って置きたくないから返す」という側面の力も働きます。

返報性の原理について、こちらの記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください⬇︎

返報性の原理とは|マーケティングで使える行動心理

2.ザイオンス効果

ザイオンス効果とは単純接触効果とも呼ばれ、簡単に言うと「何度も接触すると相手への好感度が高まる」という行動心理です。

私たちには何度も何度もそれを見ているうちに、好きになってしまう傾向があります。

広告を何度も見せるようにするのはそのためです。

1回見ただけで反応をしてくれる人はほぼいません。

1回広告を見ただけでは、それを見たということすら意識されていないことがほとんどです。

なので、できるだけ同じ相手に何度も接触できるように広告をコントロールすると、反応を得やすくなります。

ザイオンス効果については、こちらの記事で詳しく解説しているのでチェックしてみてください⬇︎

ザイオンス効果とは|マーケティングで活用できる行動心理

3.バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、「みんなが良いと言っているものは、好感度が高まる」行動心理です。

流行り物を手に入れたくなる心理と言えます。

マーケティングへの活用の方法としては、売れていることや話題になっていることをアピールするやり方があります。

例えば

  • 売上No.1
  • 楽天ランキング1位
  • 行列ができるお店

など。

特に日本人は横並びが好きな人たちが多いので、バンドワゴン効果は絶大な威力を発揮します。

4.スノッブ効果

スノッブ効果とは、「みんなが良いと言っているものは、欲しくないと感じる」行動心理です。

バンドワゴン効果とは逆の行動心理です。

「どっちが正しいの?!」と思いますよね。

これは人によるし、物や状況にもよります。

何がなんでもみんなと同じものを選ぶ人もいれば、何がなんでもみんなとは違うものを選ぶ人もいます。

さらには、みんなと同じものを選ぶ時もあれば、みんなと同じものを選ばない時もある人もいます。

多くの人が、どちらの行動も取っていると思います。

例えば

  • 服装はみんなと同じ無難なものがいいけど、旅行に行くなら一般的な人気エリアには行きたくない
  • 人と同じ格好はしたくないけど、行列のできるお店には目がない

など。

マーケティングでは、高価格帯や限定品を作るなどでスノッブ効果は活用されています。

多くの人が手に入れられない商品にすることで、「みんなが手に入れることができない特別な商品を手に入れたい」と思う人にアプローチします。

5.フット・イン・ザ・ドア(段階的要請法)

フット・イン・ザ・ドアとは段階的要請法とも呼ばれ、簡単に言うと「小さなお願いを聞くと、次のお願いも聞いてしまう」行動心理です。

人は、1度YESと答えると、次の要求にもYESと答えたくなる傾向があります。

これは「コミットメント」や「一貫性」の力によるものです。

私たちには、自分が決めたことを守りたいという意識が働きます

その行動心理を利用したアプローチ方法が「フット・イン・ザ・ドア(段階的要請法)」です。

フット・イン・ザ・ドアと言うネーミングは、訪問営業をしている営業マンが足を玄関ドアに挟ませて「ちょっとお話だけ聞いてください!」というやり方をしたところからきています。

ちょっと話を聞くことに「YES」と答えてしまった相手は、その次の話に対しても受け入れなければ、一貫性が保てなくなり、自分のコミットメントに背くことになります。

それを避けたいという気持ちから、相手の要求を飲んでしまうということです。

レオナルドダヴィンチはこう言ってます。

最後に断るよりも最初から断る方が簡単だ。

マーケティングにおいては、最初に買いやすい商品を買ってもらって、その後に本当に買ってもらいたい高額の商品を買ってもらう「2STEPマーケティング」という手法で、「フット・イン・ザ・ドア(段階的要請法)」が活用されています。

例えば

5,000円のスキンケア商品を500円でお試し販売します。(小さな提案)

「500円ならいいか」と思って買った顧客は、その商品を使うという決断に一貫性を持たせたいと感じます。

お試しした方への3,500円で買えるキャンペーンを提案します。(中くらいの提案)

「3,500円ならお得だしいいか」と思って買った顧客は、より一貫性を持たせたいと感じます。

この後5,000円で売れば、最初から5,000円で販売していたら買わなかった人も、小さな提案を受け入れたことでコミットメントと一貫性が生まれ、次の提案を受け入れやすくなっているので買ってもらえる可能性が高まります。

顧客のコミットメントと一貫性を作るために、最初に売る商品を小さなものにします。

 

行動心理学とは|マーケティングを劇的に変える力の活用法 まとめ

行動心理学とは、人の行動からその人の感情を読み解くという学問です。

人を知ることが出発点のマーケティングでは大活躍する考え方です。

「こんな心理状態の人は、こんな行動をとる」という行動心理の考え方を、「こんな行動を取れば、こんな心理状態になる」という活用の仕方をマーケティングではやります。

マーケティングで使われる行動心理5選

  1. 返報性の原理…プレゼントされたらお返しをしたくなる行動心理
  2. ザイオンス効果…接触回数が増えれば好意的になる行動心理
  3. バンドワゴン効果…みんなが良いと思っているものを良いと感じる行動心理
  4. スノッブ効果…みんなが良いと思っているものは嫌だと感じる行動心理
  5. フット・イン・ザ・ドア…小さな要求を受け入れると、次の要求を受け入れたくなる行動心理

行動心理のマーケティングへの活用を、「人の気持ちを操るようなよろしくない行為」と感じる人もいますが、商品に価値があり、その価値を届けるための手法として使うことにためらわないようにしてください。

顧客に価値ある商品を見つけてもらうためのきっかけ作りだからです。

バンドワゴン効果とスノッブ効果のように、人には相反する感情と行動が存在します。

行動心理と言えど完璧ではないので、全てが行動心理によってうまくいくわけではないということは覚えておいてください。

はむ師匠
ハサミと同じで使い手によって、便利な道具にも凶器にもなるんだよ〜

 

行動心理についてもっと知りたい!という方は、この本を是非チェックしてみてください!

たくさんの行動心理がわかりやすく紹介されているのでおすすめです⬇︎

  • この記事を書いた人
はむ師匠

はむ師匠

マーケティングの力でハッピーになれる人を増やすために、マーケティングの知識を発信しているマーケティン熊。 「マーケティングを使える人が増えれば、今よりも世の中は良くなる!」と信じて、大企業からスタートアップ企業まで、今まで100社以上のマーケターにマーケティングの使い方を指導してきている。

-マーケティング全般
-, ,

© 2024 マーケティング道場|初心者→プロへの道